日本レーザー医学会誌
Online ISSN : 1881-1639
Print ISSN : 0288-6200
ISSN-L : 0288-6200

この記事には本公開記事があります。本公開記事を参照してください。
引用する場合も本公開記事を引用してください。

がん選択性と治療効果向上を志向した電子移動光増感剤
平川 和貴 岡崎 茂俊村上 浩雄金山 尚裕
著者情報
ジャーナル フリー 早期公開

論文ID: jslsm-40_0061

この記事には本公開記事があります。
詳細
抄録

光線力学的療法は,低侵襲ながん治療法として優れているが,光増感剤の改良により,がん選択性と治療効果をさらに向上できる可能性がある.従来のポルフィリン光増感剤は,一重項酸素生成による生体分子の酸化損傷を作用機序としているが,低酸素条件でも活性を維持できる電子移動機構に着目し,ポルフィリンのリン錯体による生体分子の光損傷を評価した研究例を紹介する.ポルフィリンのリン錯体は,DNA,タンパク質(酵素を含む),葉酸,ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドを可視光照射下,電子移動を介して酸化損傷した.さらに,ポルフィリンのリン錯体の中には,培養細胞レベルでがん選択性を示す誘導体が確認された.また,担癌マウスによる実験で高い腫瘍選択性を示す分子も明らかになった.

著者関連情報
© 2019 特定非営利活動法人 日本レーザー医学会
feedback
Top