日本レーザー医学会誌
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創傷治癒における低出力レーザーの効果
小谷 裕美河野 透石崎 彰葛西 眞一水戸 廸郎
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1989 年 10 巻 3 号 p. 411-414

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抄録
低出力レーザーの創傷治癒促進効果について実験的, 臨床的に検討した。
基礎的実験としてラット背部に円形の感染創を作成, 創傷作成後4日から7日間He-Neレーザー照射を行い, 創の面積の推移と肉眼的, 光顕的変化を比較検討した。創治癒が遅延していた群で, 照射により創縮小の速度が速まり, 照射側の創には照射開始後第11日に重層編平上皮様の構造が出現した。
臨床的経験として, 腹会陰式直腸切断術術後の会陰創4例, 血行不全による難治性皮膚潰瘍1例, 仙骨部褥創1例にHe-Neレーザー照射を短期間行ない, 有効性が確認された。
以上により, 創傷治癒課程の1時期, 特に肉芽の形成期に低出力He-Neレーザー照射を行なうことで, 創治癒機転が早められることが示唆された。
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