日本レーザー医学会誌
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腹腔鏡レーザーを用いた卵巣嚢腫の手術
戸沢 秀夫深谷 孝夫
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1994 年 15 巻 4 号 p. 21-24

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抄録
われわれは1990年より腹腔鏡手術にレーザーを応用している。この項では卵巣嚢腫の手術について解説する。腹腔鏡手術の適応となるのは画像診断(CT,MRI,超音波断層)や生化学検査(腫瘍マーカーなど)を含む術前検査により診断された良性の卵巣嚢腫である。手術は通常3・4箇所の腹壁穿刺で行われる。基本術式は卵巣嚢腫核出術と付属器切除術である。前者は嚢腫内容を穿刺吸引後,レーザーで卵巣被膜を切開し、鉗子を用いて被膜から嚢腫壁を剥離摘出する。剥離面からの出血に対しレーザーによる凝固は有効な止血法である。剥離後の卵巣被膜はフィブリンのりを用いて形成する。後者にはいくつかの方法があり,嚢腫茎をループ結紮糸で結紮して切断する方法やEndo GIAを用いる方法を主に用いているが,他にバイポーラー鉗子で血管・靭帯を凝固したうえで,その箇所をレーザーで切断して卵巣を切除する方法もある。現在使用しているのはKTP/YAGレーザーで,2種類のレーザーを切開・凝固で使い分けることにより手術操作は簡略化され安全確実となる。今後その適用は拡大していくものと思われる。
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