抄録
McCune-Albright症候群は,Fibrous dysplasiaによる骨脆弱性のために骨折を繰り返し,大腿骨に羊飼いの杖状変形と呼ばれる内反股変形を引き起こす.今回,McCune-Albright症候群の小児に,転倒による骨折を契機に発症した内反股の一例を経験したので,報告する.症例はMcCune-Albright症候群の診断をされた6歳女児で,転倒による大腿骨転子部骨折に対して,介達牽引による保存加療を行った.治療経過中,骨癒合,骨折を繰り返したが,約8か月の経過のうちに骨癒合は完了した.しかし,その後も疼痛を認めないにも関わらず,股関節の内反変形が進行し,健常側についても同様に内反変形を認めた.本症例では年齢を考慮して保存加療を選択しているが,今後は骨成熟を待ち外科的処置を検討している.しかし,文献的には外科的処置を行っても,治療に難渋することが多い.McCune-Albright症候群の症例報告は少なく,今後も多くの報告が望まれる.McCune-Albright症候群は,Fibrous dysplasia,Café-au-lait spot,内分泌機能障害を合併する先天性疾患である.Fibrous dysplasiaはその骨脆弱性のために骨折を繰り返し,大腿骨に羊飼いの杖状変形と呼ばれる内反股変形を引き起こす.今回われわれは,McCune-Albright症候群の小児に発症した大腿骨転子部骨折後に進行した内反股の一例を経験したので,若干の文献的考察を加え,報告する.