抄録
当科において2008年までに寛骨臼回転骨切り術(RAO)後10年以上経過した140股のうち,追跡し得た70股を対象としX線学的評価を行ったので報告する.評価因子としてSharp角, CE角,手術時股関節症病期,骨頭形態(骨頭円形指数/骨頭変形指数)を用いた.病期分類は両股関節X線正面像において荷重部の関節裂隙の残存程度を定量化し,日本整形外科学会の病期分類のうち,岡野らの提唱した進行期をさらに二分化したものを組み込み,前期,初期,進行前期,進行後期,末期の5段階に区分した.病期が進行した,あるいは人工関節となったものを悪化群,変わらないものを不変群,改善したものを改善群とした.各々の因子と術後病期の変化との関連を検討した.対象とした症例70股の最終検診時の術後平均経過年数は16年11か月であった.悪化群は24股で,そのうち5股が人工関節になった.不変群は41股,改善群は5股であった.術前病期が進行している症例ほど術後病期の悪化が多い結果が得られた.術前から最終検診時にかけてSharp 角は術前平均48.7°から術後平均35.7°に改善し,CE角は術前平均11.7°から術後平均47.7に改善を認めた.Sharp角とCE角の変化の割合は悪化群,不変群,改善群ともに有意差を認めなかった.術前の骨頭円形指数,骨頭変形指数はそれぞれ平均56.4,平均1.42で最終検診時はそれぞれ平均55.9,平均1.68となっていた.これは術後も変形が起こっていることを意味する.それら指数の値を悪化群,不変群,改善群に分けて見てみると,不変群の平均骨頭変形指数の術前から最終検診時の変化の割合のみ有意差を認めた.Sharp角,CE角が術後正常に近い状態になっていることで骨頭被覆は改善される.術前のSharp角,CE角は術後病期変化にはあまり影響を与えないと思われる.手術時病期は術後病期変化に影響を与えることが示唆された.骨頭円形指数は病期が悪化する症例に大きい傾向が見られた.骨頭変形指数は術前では不変群が最小であったが,最終検診時では病期は進行するにしたがって高くなる結果となった.骨頭形態も病期進行に影響を与える可能性があることが考えられた.臼蓋と骨頭の適合性が病期進行に重要であると考えられた.