昭和医学会雑誌
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特別講演
感染症の現状と制圧戦略
小林 和夫
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2010 年 70 巻 1 号 p. 70-73

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抄録
現代においても,感染症は人類に甚大な健康被害を提供している.最近まで,日本を含めた先進諸国では感染症を解決された過去の疾患と錯覚し,その対策を怠ってきた.しかし,都市化による過密,人口の集中,貧困,交通機関の発達による人民の高速移動,国際化,環境破壊や温暖化など,現代社会の直面している状況が感染症の増加に関与している.感染症は病原体と宿主の生存戦争である.再興病原体は抗微生物薬に耐性を獲得し,また,新興病原体は人類に新たな脅威を提供している.加えて,感染症の人為的・意図的脅威として,炭疽菌による生物テロリズムが発生した.宿主側の要因として,感染抵抗力の減弱(人口の老齢化,免疫抑制薬/臓器移植や免疫疾患)が易感染性を惹起している.本講演では,感染症の現状や制圧戦略について,概説する.
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© 2010 昭和大学学士会
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