抄録
外側大腿回旋動脈系から分岐する皮膚穿通枝を血管茎とする皮弁は大きな皮弁を長く太い血管茎で移植することが可能なだけでなく,皮弁採取部の犠牲が少ないなど多くの利点を有するが,血管の走行には解剖学的変異が多く術前計画が困難である.われわれは2009年1月から9月にかけて38症例を対象として外側大腿回旋動脈系の解剖学的評価Multidetector-row CT(MDCT)を用いて行った.外側大腿回旋動脈が分岐する形態は3種類に,大腿外側体表面近傍へむけて走行する血管は3群に分類できた.上前腸骨棘から外側大腿回旋動脈までの距離に男女間有意差はなかった.本研究ではMDCTにより,外側大腿回旋動脈系の直径2mm程度の血管まで描出可能であり,撮影条件や造影剤の注入速度を調節することにより皮膚穿通枝領域を含めて低侵襲で正確な評価が可能であることが示唆され,今後再建外科領域でのさらなる発展が期待できると考えられた.