2011 年 71 巻 2 号 p. 187-191
近年交通事故による外傷性股関節脱臼は稀ではないが,スポーツ中の受傷は少なく,骨頭骨折の合併はさらに稀である.われわれはバスケットボールプレー中受傷した症例を経験したので報告する.症例は27歳男性,バスケットボールプレー中転倒し受傷.単純X線およびCT検査で骨頭骨折を伴う股関節後方脱臼と診断,同日全身麻酔下で徒手整復した.後日,骨頭骨片の脱転を認め,観血的整復固定術を試行.術後1年で股関節の違和感はあるが,スポーツ活動に問題はなく,画像上大腿骨頭壊死は認めない.受傷機転は転倒時に強いshearing forceが骨頭にかかったためと思われるが,その理由は不明である.現在大腿骨頭壊死は発生していないが,治療経過で整復後の骨片の評価が遅くなったことが反省点である.