昭和医学会雑誌
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原著
乳癌ICG蛍光法によるセンチネルリンパ節生検
―昭和大学病院での成績―
沢田 晃暢内田 諭子三輪 教子大山 宗士繁永 礼奈伊達 由子鈴木 研也榎戸 克年中村 清吾三田村 圭太朗田島 勇介村上 雅彦
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2011 年 71 巻 5 号 p. 497-504

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抄録

センチネルリンパ節(SLN)の同定方法として,色素法,ICG蛍光法,ラジオアイソトープ(RI)法,色素+RI併用法と数多く議論されてきているが,現段階ではどの方法がベストであるかは結論が得られていない.当教室では,2005年4月よりICG蛍光法によるセンチネルリンパ節生検(SLNB)を行っており,今後の臨床応用のために検討を試みた.対象および方法:対象患者は2005年4月より2010年3月の期間にSLNBを試行した原発性乳癌患者409例(32~81歳)である.2005年4月~2007年12月(214例)は腋窩郭清を考慮し,同意が得られた患者には,腋窩リンパ節郭清(ALND)を行い第1期間とした.2005年4月~2010年3月(409例)までは全期間としてSLNの同定について詳細を検討した.結果:第1期間でSLNBを行った214例中,ALNDを同時に追加した症例が81例であり,ALNDを省略した症例が133例であった.81例中T1までの42例で偽陰性率は0%であったが,T2からの26例では偽陰性率が44%であった.全期間でみると,SLNBを試みた410例中409例(99.8%)にSLNを確認できた.その409例中314例のSLNが陰性であり,SLNの陰性例で現在までに再発を認めた症例は4例であった.また,術後の摘出標本内の腺内リンパ節に転移が存在した症例を314症例中3例に認めた.考察:ICG蛍光法によるSLNBの一番の利点は,RI法と違い施設を選ばず簡単に行えることである.さらに色素単独法に比べて偽陰性率が少なく信頼性が高い.欠点としては,腺内リンパ節がSLNであった場合,RI法とは違いSLNを見逃すことになる.また,ピンポイントでSLNを同定できず,術前の局所麻酔下SLNBには不向きである.

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© 2011 昭和大学学士会
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