昭和医学会雑誌
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原著
ダーモスコープを用いた頬部正常皮膚の観察
―色素沈着の経年的変化について―
根本 仁角谷 徳芳伊藤 芳憲木村 直弘
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2011 年 71 巻 6 号 p. 588-595

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抄録

ダーモスコープは光の乱反射をおさえた拡大鏡であり,日常診療において皮膚腫瘍の診断に用いられている.今回われわれは,頬部正常皮膚をダーモスコープで観察し,色素沈着の経年的な変化を濃さと面積で解析した.0歳から80歳未満の日本人男女,計80名を対象とし,両側頬部を倍率50倍のダーモスコープで撮影した.コンピュータ上で,色素沈着の濃さを明度の指標であるL値に変換して評価した.色素沈着の面積は,画像解析ソフトImage Jを用いて測定した.80名に対し両側撮影したため160の画像が得られた.ダーモスコープで得られた画像では毛孔を中心に色素沈着を認めた.この毛孔周囲の色素沈着は4~5歳ごろより認められはじめ,遠心状に拡大し,互いに癒合していく傾向にあった.色素沈着の濃さは年齢と相関し(P < 0.0001),経年的に濃くなっていくが,40歳以降では一定となる傾向にあった.また60歳以降では男性は薄くなり,女性は濃くなる傾向にあった.色素沈着の面積は,男女ともにほぼ一定の増加率で経年的に増えていく傾向にあった(P < 0.0001).また色素沈着には男女差があり,男性の方が濃く,面積が大きいことがわかった.

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© 2011 昭和大学学士会
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