昭和医学会雑誌
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尿管の膜電位について
野口 岩男森 有永清水 弘一松永 昂
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1965 年 25 巻 8 号 p. 326-330

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抄録

1.膜電位を細胞内電極を用いて測つた正常Krebs液での平均値は-55mVで-65~-45mVの拡りを示した.
2.KCI濃度の変化に伴い高濃度域ではNernstの理論式にしたがいKCI濃度の対数と膜電位との間には直接関係が成立し直線部分では濃度が10倍となると膜電位は32mVだけ低下した.
3.Krebs液中のNaClを等張sucrose, cholineなどで置換すると膜電位は前者ではあまり変化せず, 後者では過分極が起こつた.
4.NaClをsucrose置換したKrebs液内でCaC12増加は多少の過分極がみられた.
5.CaCl2減少では膜電位は1/7倍ではあまり変化がなかつたがCaCl2を全く除くと多少過分極を示した.この場合1/7倍CaCl2環境では40mVの自発性の活動電位を発生し, 無CaCl2環境では10mVの自発性の活動電位を発生した.
6.Achによつて著しい脱分極をみた.
稿を終るに臨み, 御懇篤なる御指導を賜つた井上清恒教授に深く感謝の意を表します.

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