昭和医学会雑誌
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乳幼兒榮養品中のヴィタミンCに就て
第二報 市販牛乳中のアスコルビン酸に就て
内村 良二沼田 勇齋藤 正
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1941 年 3 巻 4 号 p. 224-237

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抄録

市販牛乳にビィタミンCた添加し時間的に添加ビィタミンCの消長だ藤田, 海老原兩氏の比色法で追跡したるに種々なる條件でなした結果がラクトフラビン純粹溶液のビィタミンCに對する揚合と一致した.次に其の主なる點た記す
1) 空氣との接觸面を大にすればする程牛乳中のアスコルビン酸の減少は著しく且迅速となり大部分不可逆的である.
2) 酸素を逋する事によりこの減少は著しく増強せらるるが嫌氣的條件下では全然起らない。
3) 遮光の有無は特別な差違は示さない.
4) 零度ではこの減少は停止する.
5) 煮沸又は一度酸性にし中和した後もアスコルビン酸に對する關係は變らなかつた.
以上の主要點以外に於ても, 尚不一致點は認めら櫨かつた.尚牛乳にはかゝる減少を制限する因子僅少ながら認める事が出來た.以上より從來報告せられれ牛乳中ビィタミンCは酸化酵素を用び比色法で檢討するた要し乳汁中ビィタミンCは搾後は兎も角として來の方法で家庭に配達せられる前に完全に消失して居る事を指摘した.

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