抄録
1.ラット脳幹網様体から侵害刺激に応ずるニューロン活動を記録した.ニューロンによって反応様式を異にし, 侵害刺激中にのみ放電の変化を示すニューロンと, 刺激の時点とは直接関係なく刺激終了後も放電の変化を示すニューロンとがあり, それぞれに放電頻度が増大する型と減少する型とがみられた.上記4つの型のニューロン活動が単独に出現するニューロンの他に, これら4つの型が組合さって放電変化を示すと考えられるニューロンも数多く見出された.
2.針刺激によって侵害刺激に応ずるニューロン活動の変化が抑制をうけるニューロンが見出された.この抑制の発現には潜時があり, 後効果もあり, 針鎮痛の特長を示した.針刺激によって, 侵害刺激中のニューロン活動のみ, あるいは持続性のニューロン活動の変化にのみが抑制をうけるニューロンや, 両者ともに抑制をうけるニューロンが見出されたので針刺激の抑制にはシナプス前抑制が考えられた.
3.中脳中心灰白質の刺激, 及び侵害性刺激の両者でニューロン活動の変化を示すニューロンが脳幹網様体に見出された.そのニューロン活動の変化は放電頻度の増減であった.
4.中脳中心灰白質の刺激で放電頻度の変化を示さず, 侵害刺激に応答するニューロンの中には, 中脳中心灰白質の刺激で侵害刺激に対する反応が抑制されるニューロンがあり, この抑制は刺激終了後も可成り長く持続した.Naloxoneは中脳中心灰白質の刺激中の抑制には拮抗しなかったが, 刺激終了後の抑制には拮抗した.
本論文の要旨は, 第55回日本生理学大会 (昭和53年4月2日) で報告した.