昭和医学会雑誌
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大脳辺縁系と針鎮痛との関係
II. 中隔核, 帯状束と針鎮痛モルヒネ鎮痛との関係
羅 昌平佐藤 三千雄清水 信介武重 千冬
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1979 年 39 巻 5 号 p. 559-568

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抄録

1.ラットの尾逃避反応を指標として, 針鎮痛有効群のラットの針鎮痛, モルヒネ鎮痛に対する帯状束破壊の影響を検した.
2.電極 (直径0.5mm) を帯状束を通過して尾状核まで挿入すると, 針鎮痛も0.5mg/kgのモルヒネによる鎮痛もともに消失した.
3.電極の挿入を帯状束までに止めても中隔核に電極を挿入しても同様のことが観察された.
4.電極の挿入が帯状束に達しない時は針鎮痛もモルヒネ鎮痛も対照と同様に現われた.
5.中隔核に挿入した電極を介して電気刺激を与えると鎮痛が出現し, この鎮痛は1mg/kgのnaloxoneによって拮抗された.
6.中脳中心灰白質背側部の刺激によって誘起された鎮痛は帯状束の破壊で消失した.
7.中脳中心灰白質から内側前脳束を通って中隔核, 帯状束を通って海馬に到る系は針鎮痛の求心路と考えられ, この系の活動によって内因性モルヒネ様物質が遊離し針鎮痛が出現しモルヒネもこの系を活動させて鎮痛を現わす可能性を論じた.

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