抄録
肝細胞障害作用と赤血球膜作用との相関関係を検討し, 赤血球膜作用が肝細胞毒性のscreening法となりうるかどうかを検討した.三環系抗うつ薬および局所麻酔薬のdibucaineのように赤血球において低濃度での溶血阻止作用とそれに続く高濃度側での溶血促進作用のあるものでは, 肝細胞からの酵素逸脱がみられた.またiproniazidのように溶血作用だけが強い場合, あるいはβ-blockerのように溶血阻止作用のみが強い場合には肝細胞への直接障害作用はみられなかった.三環系抗うつ薬の肝細胞障害作用および赤血球膜作用はchlorimipramine>amitriptyline>desipramine>imipramineの順に強く, 肝細胞障害および赤血球溶血をおこし始める濃度は一致した.低濃度における膜安定化作用および高濃度における溶血促進作用が認められるものに, 肝細胞障害作用が認められることより, 赤血球膜作用が, in vitroにおける肝細胞毒性のscreening法として有用であることが示唆された.