抄録
症例は26歳の男性, 自覚症状は無かったが, 健康診断の際, 小球性低色素性貧血を指摘され, 精査を行なった.末梢血でRBC569万/cmm, Hb12.3g/dl, Ht37.4%, 赤血球大小不同, 奇形, 標的細胞を認め, Fe129μg/dl, TIBC348μg/dl, Ferritin320ng/mlを呈した.Hb電気泳動で, A89.9%, A24.0%, F6.0%, 染色法によるHbFも37‰, 骨髄検査で赤芽球系の増加が著明であった.CPCによる赤血球抵抗試験ではHEP48mOsm, HSP90mOsmと低浸透圧側に傾いていた.家族の血液検査の結果, 母親, 伯叔父母, 従兄弟に発端者と同様な所見が得られ, β-Thalassemia minor (ヘテロ接合体) と診断した.本稿ではHb電気泳動, CPCを健康人や鉄欠乏性貧血例と比較し述べる.