昭和医学会雑誌
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41 巻, 2 号
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  • 山本 龍二, 筒井 廣明, 安楽 岩嗣
    1981 年41 巻2 号 p. 117-123
    発行日: 1981/04/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
  • 洪 耀騰
    1981 年41 巻2 号 p. 125-128
    発行日: 1981/04/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
  • 和田 育穂, 安原 一
    1981 年41 巻2 号 p. 129-136
    発行日: 1981/04/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    β-blockerの中枢作用機序を臓器のMAO活性に対する効果と膜安定化作用ならびに局所麻酔作用について検討した.
    Wistar系雄性ラットの脳と肝を摘出し, 脳はhomogenateを肝はmitochondriaを酵素標品として使用し, MAO活性の測定は基質として14C-5-hydroxytryptamine (5-HT) と14C-β-phenylethylamine (β-PEA) を使用し, Wurtmanらのradiometricassay法に従い行った.また赤血球膜に対する作用はラットの血液を用いparpart法に準じ溶血阻止作用を, 局所麻酔作用はウサギの角膜知覚麻痺作用で検討した.β-blockerとしてはpropranolol, pindolol, atenolol, oxprenololを用い次の様な結果を得た.
    ラット脳homogenate MAOに対して5-HT基質では, 1×10-4MよりMAO活性阻害が認められ1×10-3Mにおいてpropranololで80%, pindololで60%, oxprenololで40%のMAO活性阻害が認められたが, atenololでは認められなかった.propranololのI50は5×10-4Mであった.β-PEA基質では, 1×10-3Mにおいてpropranololのみ50%の阻害が認められた.ラット肝mitochondria MAOに対して5-HT基質では, 1×10-5MよりMAO活性阻害が認められ1×10-3Mにおいてpropranololで90%, pindololで80%, oxprenololで50%のMAO活性阻害が認められたが, atenololでは認められなかった.β-PEA基質では, 1×10-3Mにおいてpropranolol及びoxprenololのみ40%のMAO活性阻害が認められた.Pargylineは脳, 肝MAOに対し5-HT, β-PEA基質とも1×10-5Mで100%近い阻害が認められた.Propranolol, pindololはβ-PEAより5-HT酸化の方をより強く阻害した.一方oxprenololはβ-PEA, 5-HT酸化とも同じ程度の阻害が認められた.Propranolol, pindololのMAO活性阻害は5-HTを基質にした場合透析法により活性が回復し可逆性が認められた.ラット肝mitochondria MAOに対に対するpropranolol, pindolol, oxprenololの阻害様式を5-HTを基質としてLineweaver-Burkの方法によりプロットするとpropranololのMAO阻害機構は競合的であり, oxprenolol, pindololは非競合的であった.ラット赤血球膜の溶血阻止による膜安定化作用は6×10-5Mよりpropranolol, pindolol, atenololに認められoxprenolol, pargylineでは認められなかった.溶血阻止効果はpropranololでは4×10-4Mで80%, pindololでは1×10-3Mで60%, atenololでは1×10-3Mで45%とそれぞれ最も強く認められた.ウサギ角膜の表面麻酔作用はpropranololでは2×10-4Mから1×10-3Mで認められpindolol, oxprenololでは1×10-3M~1×10-2Mで認められた.atenololではほとんど認められなかった.
    以上よりβ-blockerはβ-PEAより5-HT酸化をより強く阻害することからtype A MAOをより強く阻害することが認められた.MAO活性阻害の強弱は膜安定化作用において溶血阻止作用より局所麻酔作用に相関が認められた.またpropranololのMAO阻害機構は競合的であることよりMAOの活性部位に作用していることが示唆された.
  • 松尾 廣之
    1981 年41 巻2 号 p. 137-145
    発行日: 1981/04/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    三環系薬物の生体膜に対する作用を, ラットの単離肝細胞, 肝粗ミトコンドリア画分, 赤血球を用いて検討し, これら生体膜に対する作用と界面活性作用との相関を検討した.単離肝細胞からのTotal-GOT (T-GOT) , mitochondrial-GOT (m-GOT) の逸脱は, chlorimipramine (CIM) >chlorpromazine (CPZ) >desipramine (DMI) >imipramine (IM) の順に強く, 適用濃度ならびincubation timeに応じて増加した.GPTおよびLDHの逸脱はCPZ, CIMの適用では著明であり, DMI, IMではGPTの逸脱は, 4×10-4Mまで抑制を認め, LDHの逸脱は軽度であった.粗ミトコンドリア画分からのGOTの逸脱の強さも同様の傾向であった.赤血球の70%溶血に対して, CPZ, CIMは1×10-5M~1×10-4Mで溶血を阻止し阻止率は8×10-5Mで最大であり, 2×10-4M以上では溶血促進が認められた.IM, DMIの溶血阻止は前者より弱くその作用は4×10-4Mで最大であった.表面張力低下作用は, CIM≧CPZ>DMI≧IMの順で強かった.三環系薬物の生体膜に対する膜安定化および障害作用は, その界面活性作用とよく相関した.
  • I: 皮膚温, 筋肉温, 脈波から検した局所疼痛に対する針灸の作用機序
    木下 晴都
    1981 年41 巻2 号 p. 147-156
    発行日: 1981/04/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    局所疼痛に対する針灸の治療効果の作用機序を解明するために, 坐骨神経痛様症状を呈する患者の施針灸前後の疼痛部の皮膚温, 筋肉温を熱電対温度計で測定し, 針灸の効果を解析した.疼痛部は健側のそれと対応する部に比して, 皮膚温, 筋肉温ともに低下しているが, 疼痛を訴える部の筋に針灸を施行すると温度が上昇し健側の値に近づく.反射型で検した疼痛部の容積脈波高は疼痛部筋の針灸施行によって増大し, 皮膚温とともに健側の値に近づく.透光型で検した趾先脈波高は, 下肢の疼痛を訴える位置まで下肢を挙上したときは減少するが, 針灸施行後は下肢を挙上しても脈波高の減少率は低下する.斜角筋に過緊張があり頭部の運動によって指先の血流が停止する患者の当該筋に施針すると, 筋弛緩剤を投与したときと同じように血流停止の緩和がみられた.
    上記の結果から局所疼痛に対する針灸の効果は, 疼痛原因となっている緊張が増大している筋の低下している血行動態を改善することであると推定された.
  • 伊藤 治彦
    1981 年41 巻2 号 p. 157-164
    発行日: 1981/04/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    家兎を仰臥位にして現われる動物催眠の持続時間を指標として動物催眠と針麻酔の中枢機序との関連を検索した.動物催眠の持続時間はオピエートの特異的拮抗剤naloxoneでは変化しなかったが, 針麻酔の鎮痛の求心路にあたる中脳中心灰白質背側部の刺激あるいはmorphineの投与によって延長し, この延長はnaloxoneあるいは針麻酔の求心路の破壊によって消失した.
    動物催眠時間はセロトニン拮抗剤であるmethysergideでは短縮したがモノアミンの枯渇剤であるtetrabenazineでは延長した.また橋の背側部の第四脳室の外側部の破壊によって動物催眠時間の短縮がみられた.以上から動物催眠の誘起は内因性モルヒネ様物質にはよらず, 従って, 針鎮痛の発現機序にはよらないが, 動物催眠誘起の中枢は針鎮痛の求心路の活動や, モルヒネによって遊離された内因性モルヒネ様物質によって影響をうけ, 活動することが判明した.
  • 伊藤 治彦
    1981 年41 巻2 号 p. 165-170
    発行日: 1981/04/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    ラットの尾逃避反応の閾値を痛覚閾として測定した針, モルヒネ鎮痛に対するドーパミンの拮抗剤pimozideの作用から, 両者の鎮痛の発現にあづかるドーパミン系の関与を検した.針鎮痛は4mg/kg (i.p.) のpimozideによって完全に拮抗された.pimozide単独では痛覚閾値に影響を与えなかった.針鎮痛に対するpimozideの拮抗作用は濃度―反応的であった.0.5mg/kgのモルヒネ鎮痛もpimozideで完全に拮抗された.針鎮痛の求心系にあたる中脳中心灰白質背側部, 中隔核外側部, 視床下部前部などの刺激によって発現する鎮痛に対してpimozideは完全に拮抗した.遠心系の下行性抑制系の起始部位の一部にあたる中脳中心灰白質腹側部の刺激によって現われる鎮痛に対してはpimozideは全く拮抗しなかった.以上の結果から針, モルヒネ鎮痛の発現にあずかる内因性モルヒネ様物質の遊離に関与する針, モルヒネ鎮痛の求心系にドーパミン系が関与していることが想定された.
  • 伊藤 治彦, 水野 光通, 藤下 昌彦
    1981 年41 巻2 号 p. 171-174
    発行日: 1981/04/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    針麻酔の刺激によって現われる脳波変化の特長を明らかにするため, 視床内側核, 視床外側核から導出した周波数分析した深部脳波のθ, δ成分の潜伏期, 後効果が針麻酔の求心路にあたる中脳中心灰白質背側部 (dPAG) 刺激によってどの様に変化するかを検した.dPAGの刺激によって, 針刺激で現われる様な特有な脳波変化 (刺激開始後, 潜伏期をおいて現われるθ成分の減少, 遅れて増大するδ成分) が見られた.dPAG刺激強度は, 脳波変化の潜伏期及び刺激終了後の後効果に影響し, 刺激強度が強くなると潜伏期が短くなり, 後効果が長くなる傾向がみられた.このような脳波変化は針の求心路にあたる部位以外の刺激では出現しなかった.以上の結果からdPAGは周波数分析した脳波からも針麻酔の求心路にあたっていることが明らかになった.
  • 林 義久
    1981 年41 巻2 号 p. 175-184
    発行日: 1981/04/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    減感作療法の作用機序の1つに遮断抗体の産生説があげられている.遮断抗体はIgG分画に属するとされているが詳細は不明な点が多い.今回著者はダニ, キヌ, アルテルナリアの3種抗原で減感作療法を行なっている101名の気管支喘息児について血清中の各抗原に対するIgG, IgE抗体を測定した.この結果, いずれの抗原においても, 減感作療法を長く継続する群ほどIgG抗体の上昇は有意な相関をみた.IgE抗体とIgG抗体との間に一定の傾向は認められず, IgE抗体の変動と臨床症状との間に一定の関係は認められなかった.以上のことより減感作療法により, 増加したIgG抗体は遮断抗体として作用している可能性を示唆した.
  • 松本 章, 小林 恵子, 田中 波香, 山田 庄司, 山根 典子
    1981 年41 巻2 号 p. 185-191
    発行日: 1981/04/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    ストロンチウム塩を動物に投与して生ずる硬組織形成障害の機構の一端を解明するために炭酸ストロンチウム投与ラットの脛骨骨端軟骨板と脛骨骨幹骨上端の骨梁部との境界部におけるカルシウム (Ca) とストロンチウム (Sr) の局在性をX線マイクロアナライザー (EPMA) 並びにレーザ発光分光分析装置 (LMA) を用いて調べた.
    対照ラットと低Caラットの骨端軟骨板ではLMAでCa元素は検出されたがSr元素は検出されなかった.EPMAでは両元素とも骨端軟骨板に認められなかった.SrCO3投与ラットの場合にはEPMAではCa元素とSr元素はともに認められなかったがLMAでは両元素とも検出された.
    対照ラットと低Caラットの骨梁部ではEPMAでCa元素は認められたがSr元素は認められなかった.SrCO3投与ラットの場合にはEPMAで両元素とも認められた.
    これらの事実からLMAの方がEPMAより分析精度が優れていること, またSrが骨端軟骨細胞層に侵入し, 軟骨内骨化現象を障害していることが示唆された.
  • 加藤 徹, 根岸 雅夫
    1981 年41 巻2 号 p. 193-201
    発行日: 1981/04/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    近年慢性関節リウマチに使用され始めたD-Penicillamine (D-Pc) の作用機序を種々の動物を用いて検討した.液性免疫に対する影響については, ratの抗羊赤血球免疫応答を用いたが, 長期のD-Pc前処置により, 19S抗体および7S抗体ともに1次免疫応答, 2次免疫応答が抑制された.Plaque forming cell assayでは, D-Pc処置群に抗体産生細胞の減少がみられた.細胞性免疫に対する影響については, ratのadjuvant関節炎を用いて検討したが, 関節炎発症率およびPPDに対するMIT陽性率の低下がD-Pcを長期前処置した群にみられた.またモルモットのDNCB塗布試験においてもD-Pc長期投与群に陽性率の低下を示した.以上の成績から, D-Pcは液性免疫においては抗体産生抑制的に働くことが明らかとなり, また細胞性免疫に対しても抑制的に働くことが明らかとなった.
  • 篠原 文雄, 井上 紳, 藤本 治道, 河村 正敏, 西川 敏, 九島 巳樹, 風間 和男
    1981 年41 巻2 号 p. 203-206
    発行日: 1981/04/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    結核性大動脈瘤の破裂は大変まれなものである.最近, 我々は結核性仮性動脈瘤―食道瘻の1剖検例を経験したので報告する.症例: 38歳, 女, 既往歴・家族歴には特記すべきことはない.多量の吐血を主訴として入院し, 9日目に再び大吐血を起して死亡した.結核性病変を肺, 脾, 肝, 腎と大動脈周囲, 右肺門部, 気管分岐部, 胃幽門周囲リンパ節に認めた.右肺尖部とそれに対応する所属リンパ節の結核性初感染群にひきつづいてるいるいとリンパ節が侵され, 大動脈周囲のリンパ節から結核性病変が, 直接進展の形で大動脈と食道に侵入し, 大動脈―食道瘻が形成された.1969年Proudfootらが初感染後に潜在性に播種性に拡がった結核症をpost-primary cryptic disseminated tuberculosisと名付けたが, 本例もこのカテゴリーに入るものと思われる.
  • 野津 立秋, 石井 誠, 菊地 一江, 萩野谷 篤代, 井出 徳宏
    1981 年41 巻2 号 p. 207-212
    発行日: 1981/04/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    症例は26歳の男性, 自覚症状は無かったが, 健康診断の際, 小球性低色素性貧血を指摘され, 精査を行なった.末梢血でRBC569万/cmm, Hb12.3g/dl, Ht37.4%, 赤血球大小不同, 奇形, 標的細胞を認め, Fe129μg/dl, TIBC348μg/dl, Ferritin320ng/mlを呈した.Hb電気泳動で, A89.9%, A24.0%, F6.0%, 染色法によるHbFも37‰, 骨髄検査で赤芽球系の増加が著明であった.CPCによる赤血球抵抗試験ではHEP48mOsm, HSP90mOsmと低浸透圧側に傾いていた.家族の血液検査の結果, 母親, 伯叔父母, 従兄弟に発端者と同様な所見が得られ, β-Thalassemia minor (ヘテロ接合体) と診断した.本稿ではHb電気泳動, CPCを健康人や鉄欠乏性貧血例と比較し述べる.
  • 九島 巳樹, 藤本 治道, 近藤 和男, 塩川 章, 杉山 喜彦, 田代 浩二, 舩冨 等, 米山 敬一郎, 柳沢 美光
    1981 年41 巻2 号 p. 213-217
    発行日: 1981/04/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    Systemic lupus erythematosus (SLE) と血栓性血小板減少性紫斑病thrombotic thrombocytopenic purpura (TTP) の合併症例は, 本邦では1979年までに12例が報告されているにすぎない.我々はSLEの終末像としてTTPを合併したと考えられる1症例を経験したので報告する.症例は23歳女性.関節痛を主訴として, 約4年間入退院をくり返したが, 腎障害, 水様性下痢, 精神症状などが出現し, 死亡した.剖検では腎, 脾などにSLEにみられる変化がみられ, また腎, 肺などに小血管内血栓形成を認めることから, SLEにTTPを合併したものと診断した.
  • 洪 耀謄, 和気 美華, 末木 博彦, 柳沢 宏実, 横田 朝男, 千葉 恵子, 新村 陽子, 里見 至, 安木 良博, 萩原 民郎, 石橋 ...
    1981 年41 巻2 号 p. 219-225
    発行日: 1981/04/28
    公開日: 2010/11/19
    ジャーナル フリー
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