1981 年 41 巻 3 号 p. 285-293
雑種成犬を対象にNitroprusside (S.N.P.) とTrimethaphan (T.M.P.) を用い平均動脈圧を実験前値の50~60%に維持した低血圧麻酔における糖代謝, 酸・塩基平衡, 循環動態を検索することにより, 2つの薬剤が生体へおよぼす影響を検討した.その結果, S.N.P.の血圧低下作用は主として末梢血管抵抗を減少させることにより生じることを確認し, また末梢循環の不良化あるいはシアン化物の作用により代謝性アシドーシスを生じやすく使用に際し充分な注意が必要であることが分った.一方, T.M.P.は末稍血管抵抗の減少と心拍出量の減少により血圧を低下させるが末梢循環は良く保持され, 代謝性アシドーシスの程度も軽いことが明らかとなった.