昭和医学会雑誌
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41 巻, 3 号
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  • ―各種疾患での使用経験―
    野津 立秋, 佐野 元春, 香川 宗也, 横山 新一郎, 鶴岡 延熹, 清水 盈行
    1981 年 41 巻 3 号 p. 227-232
    発行日: 1981/06/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
  • 北條 博
    1981 年 41 巻 3 号 p. 233-240
    発行日: 1981/06/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    日本白色在来種兎7羽11肢の正常大腿四頭筋について横断面および斜断面をSEMで観察しつぎの結果をえた.筋線維の直径は10.1~32.0μm, 30~50個が集って筋線維束を形成し, その周囲は内筋周膜によって被われていた.筋線維に3種類のタイプが観察され, 丸味を帯びて直径の細い筋線維, 多角形を呈し角ばって直径の太い筋線維および多角形を呈するが丸味を帯び直径が中間的様相を呈するものが観察され, 順に赤筋線維, 白筋線維および中間筋線維に相当するものと思われる.筋原線維に認められた規則性をもった隆起の最凸面はM線, それにつづく凸面はZ盤を表わしていると思われる.大腿直筋, 各広筋において筋腹中央部, 起始部および停止部付近 (腱移行部付近より筋腹側) にて筋線維の形態, 配列に特に差異を認めなかった.
  • 北條 博
    1981 年 41 巻 3 号 p. 241-254
    発行日: 1981/06/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    薬剤筋肉注射後の影響につき42羽84肢を用いSEM, 光顕で観察し次の結果をえた.1) 薬剤1回筋肉注射でSulpyrine, Restaminがほぼ同程度の筋原線維への影響を示し, Keflodinは程度が軽く, 対照群では筋原線維への影響はほとんどなかった.2) 薬剤頻回筋肉注射では, 一面に咳線維の形態が不明瞭となり融合し非常に強い壊死様無構造, 蜂窩様構造, 強い粗造化, 筋原線維が融合する等多彩な変化を示し, 対照群は全体に強い粗造化, 一部で蜂窩様構造と壊死様無構造.筋原線維の形態と配列の乱れが認められた.3) 経時的には薬剤1回の筋肉内注射後3, 7日後に比して28日後, 薬剤頻回筋肉内注射後28日, 3ケ月後に比して6ケ月後は各々かなり修復をしていたが以後において改善されるとは想像しがたい変化が一部残存していた。薬剤筋肉内注射は, 筋原線維を侵蝕しかなり非可逆的な変化をひきおこすと考えられる.
  • (特に黄体形成ホルモン放出ホルモン (LHRH) 含有ニューロンについて)
    前田 直介
    1981 年 41 巻 3 号 p. 255-264
    発行日: 1981/06/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    ラット視床下部を電気的に破壊し, 2日後に終板器官を電顕的に検索した.さらに, 抗LHRH血清を用いたPAP法を併用して免疫細胞化学的観察も行った.内側視索前野破壊後, 終板器官の神経終末と神経線維の両者に, 内側視索前野内の背側部の一部, 視交叉上核の吻側部, 前視床下核の前半および内側視索前野の外側を破壊したものでは神経線維にだけ変性像が見られた.前視床下核の後半および視交叉上核の後1/3の破壊群では, 変性像は認められなかった.内側視索前野の一部を破壊した群では, LHRH反応陽性ニューロン中に変性像が検出され, ラットにおける視索前野―終板路の存在が確められ, この投射路にLHRH含有ニューロンが含まれていることが示された.変性ニューロンにおけるLHRHの免疫活性は, 免疫電顕によって初期の変性段階までしか認められなかった。
  • 鵜沢 龍一, 高木 康, 五味 邦英, 石井 暢
    1981 年 41 巻 3 号 p. 265-269
    発行日: 1981/06/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    基質としてマルトペンタオースを用いるα-アミラーゼ活性測定法を検討した.本法はα-グルコシダーゼを共役させて生成するグルコースを定量することによりα-アミラーゼ活性を算出するものである.本法は内因性グルコース除去に特に工夫をこらしたため迅速かつ精度よい方法であり, 従来のbluestarch法とも良好な相関を示した (r=0.941) .本基質に対する唾液腺, 膵由来のα-アミラーゼの見かけのKm値は各々, 5.26×10-3mol/l, 2.89×10-3mol/lであり, 本法は日常検査のみならず, α-アミラーゼの詳細なKineticsの研究にも十分応用可能である.
  • ―病室の温熱環境と患者の温冷感―
    松井 住仁
    1981 年 41 巻 3 号 p. 271-284
    発行日: 1981/06/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    入院患者の至適温熱環境を求めるため, 内科病棟において1年間温湿度測定, 患者への温冷感等のアンケート調査及びカルテ調査を実施し, 以下の知見をえた.至適温度は秋22~23℃, 冬20~21℃, 春21~22℃, 夏24~25℃, と季節差があった.若年者は, よりより凉しい室温でより涼しく, より暖かい室温でより暖かく感じる傾向にあった.温熱環境に対して類似の温冷感申告を呈する傾向を有す患者を1群として, 5群の疾患群に分類した.この傾向から疾患毎の至適温度を求めることが望ましいと考えた.夏の冷房しすぎ, 冬の暖房しすぎ等, 冷暖房時期, 時間, 実施方法について再考の余地を認めた.湿度感においても季節差があり, 特に冬は乾燥感の申告が増加していた.患者は病室内温熱環境の変化に対して, 衣服, 寝具等によって個々に体温調節を行っており, これによって現在一般的な空調設備は満足しえるものと考えられたが, 個々調節不能な重症者, 幼児等では依然問題が残されている.
  • 値賀 正章
    1981 年 41 巻 3 号 p. 285-293
    発行日: 1981/06/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    雑種成犬を対象にNitroprusside (S.N.P.) とTrimethaphan (T.M.P.) を用い平均動脈圧を実験前値の50~60%に維持した低血圧麻酔における糖代謝, 酸・塩基平衡, 循環動態を検索することにより, 2つの薬剤が生体へおよぼす影響を検討した.その結果, S.N.P.の血圧低下作用は主として末梢血管抵抗を減少させることにより生じることを確認し, また末梢循環の不良化あるいはシアン化物の作用により代謝性アシドーシスを生じやすく使用に際し充分な注意が必要であることが分った.一方, T.M.P.は末稍血管抵抗の減少と心拍出量の減少により血圧を低下させるが末梢循環は良く保持され, 代謝性アシドーシスの程度も軽いことが明らかとなった.
  • 家兎肝臓中に含まれるMAOの性格とそれに対する諸種薬物の影響
    橋本 通
    1981 年 41 巻 3 号 p. 295-302
    発行日: 1981/06/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    家兎肝臓mitochondria MAOの複数性を基質特異性, in vitro, in vivoにおける特異的阻害剤の影響から検討した.家兎肝臓MAOはβ-phenylethylamine (PEA) を最も強く酸化したが, これによるserotonin (5-HT) 酸化は極めて弱かった.このMAOはPEA, benzylamineを基質とした場合, clorgylineおよびharmineによっては殆ど阻害されなかったが, 5-HT基質の場合にはclorgylineにより強く阻害された.また, 基質5-HTの場合にはdeprenylにより僅かに阻害された.このMAOに対するpargylineの阻害作用はharmaline処置後でも防禦されず, いずれの基質の場合でも著明な阻害が認められた.しかし, harmaline処置をしたラット肝臓MAOではpargylineの阻害作用は5-HT酸化に対してのみ明らかに減弱したが, 他の3種の基質の場合には著しい阻害作用の減弱を認めなかった.以上の結果から, 家兎肝臓mitochondriaに含まれるMAOは大部分がtype B MAOであるが, 極く微量のtype Aも含まれている可能性が示唆された.
  • 家兎肝臓 mitochondria MAO の複数性, 特に酸素に対する親和性から
    櫛橋 民生
    1981 年 41 巻 3 号 p. 303-310
    発行日: 1981/06/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    基質特異性および各種阻害剤を使用して家兎肝臓mitochondria MAOの複数性と, この酵素の酸素に対する親和性の相違による複数性と各種阻害剤との関係を検討した.家兎肝臓MAOはtyramine, β-phenylethylamine (PEA) を強く酸化したが, 5-HTは僅かしか酸化しなかった.このMAO活性はいずれの基質を用いた場合でもdeprenyl, pargylineで強い阻害作用をうけたが, clorgylineではほとんど阻害をうけなかった.このMAOは酸素に対する親和性の相違から3つのグループに分類された.すなわちこのMAOはbenzylamine, amylamine, 5-HT, butyl-amineを基質としたときに酸素に対する親和性が最も強くtyramine, tryptamineを基質としたときは中間で, PEA, hexylamineのときは最も弱かった.この酸素に対する親和性の強さの順序は基質特異性のそれとは無関係であった.以上の結果より家兎肝臓mitochondria MAOは酸素に対する親和性に関して3グループに分類され, 同時にtype B MAOのheterogenietyが示唆された.
  • 佐藤 三千雄
    1981 年 41 巻 3 号 p. 311-319
    発行日: 1981/06/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    カエルの骨格筋 (縫工筋, 腹直筋) の活動電位の陰性後電位 (NAP) は, 環境液からCaを除去すると持続時間が延長し, 振幅も僅かに上昇した.一方spike電位は次第に減少したが, 収縮の大きさには殆んど変化がみられなかった.この効果は, EDTAを加えると更に増加した.
    CdCl2もNAPの持続を延長し, 無Ca環境液ではこの延長は更に増加した.環境液のNaイオンをTEAに置き換えると, NAPの著しい増大延長がみられたが, Caを除去すると更に延長した.上記の変化は縫工筋よりも緊張筋である腹直筋の方に著しく現われた.筋のT管系をglycerolで破壊した後には, NAPは消失するが, Caの欠損効果も出現しなかった.以上の結果からCa欠損環境液によるNAPの持続の延長はT管系に由来し, T管系の膜は筋細胞表面膜とは性質を異にし, T管系ではCa除去によるNaの透過性の増大がより著しく, その結果NAPの延長増大が出現すると推定した.
  • 高月 英夫
    1981 年 41 巻 3 号 p. 321-336
    発行日: 1981/06/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    慢性疾患の体質素因を明らかにするための基礎として, 写真観察および身長/体重比示数によるSheldonの体型分類法を用いて, 種々の内科的疾患をもつ338例の日本人成人男性入院患者について体型分類を行った.全疾患を高血圧性疾患群, 消化器疾患群, 糖代謝疾患群, 慢性肝疾患群, 一般疾患群に分類し, それぞれの体型分布の特徴を内胚葉, 中胚葉, 外胚葉の各成分に分けて統計学的に検討したところ, いくつかの疾患群の間に有意の差が認められた一般に, どの群でも中胚葉成分が優勢であるが, 内胚葉成分は高血圧性疾患群および糖代謝疾患群に強く, 慢性肝疾患群に軽度の優勢が認められた.外胚葉成分は一般疾患群に比べて慢性疾患群全般に劣勢の傾向が認められた.このように, 慢性疾患の中には体質素因の関与が示唆されるものが認められた.
  • 西村 忠典
    1981 年 41 巻 3 号 p. 337-344
    発行日: 1981/06/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    実験的高脂血症ならびに動脈硬化症についてウサギをcholesterolあるいはsaccharose添加飼料で飼育し, 血清脂質測定と走査電顕による大動脈弓部の内腔表面構造観察により検索した.血清total cholesterol (TC) は1%cholesterol飼料飼育群 (Ch群) , 0.5%cholesterol-20%saccharose飼料飼育群 (CS群) において飼育2週後より増加を示し, それぞれ10, 8週後に最大値を示した.triglyceride (TG) はCS群においてのみ増加を認めた.β-lipoproteinはTCと同様の変化を示したが, TGの増加したCS群はCh群より増加が著明であった.走査電顕による動脈内腔の表面構造はCh群8週後で膨隆した核が増加し, 16週ではこれに加えて浮腫状に隆起する部位の出現を認めた.CS群では内腔表面の変化は12週においてCh群16週と同程度の核の膨化, 浮腫状変性を示し, 16週では内腔表面全域が浮腫状構造を呈し, saccharose添加により粥状硬化が促進される結果を得た.
  • 伊藤 良作, 阿尻 貞三, 中西 弘, 松本 祐二, 金内 洋一, 猪口 清一郎
    1981 年 41 巻 3 号 p. 345-346
    発行日: 1981/06/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    昭和55年度解剖学実習屍25体中1体の左右両側に深橈側手根屈筋が見られた.両側とも吉田の報告例のNo.1左側に最も近く, 橈骨の掌側面と外側面からの2頭から成り, 両羽状筋を形成している.本例の橈側手根屈筋は両側共平均値よりも小であった.
  • 松本 文夫, 長谷川 貢, 井上 豊祐, 片桐 敬, 杉田 幸二郎, 新谷 博一, 松田 賢, 李 雅弘, 高場 利博, 増田 弘毅
    1981 年 41 巻 3 号 p. 347-351
    発行日: 1981/06/28
    公開日: 2010/11/19
    ジャーナル フリー
    症例.41歳, 女.昭和41年胸膜炎, 昭和53年胸部異常陰影を指摘され来院.入院時現症: 第4肋間左鎖骨中線より1横指外側に拍動, 心尖部~ErbにL-IIの収縮期駆出性雑音を認める.検査: 軽度貧血, 網赤血球, 血小板軽度高値を認める.胸部X線上, 左胸膜肥厚と左第3, 4弓に接し辺縁円滑境界明瞭な腫瘤状陰影を前縦隔に認め, 気管支造影で腫瘍による圧排像を認めたが, 中断・閉塞を認めず.胸部CT像で心に接し境界明瞭な約3×4cmの円形陰影を認め, 選択的肋間動脈造影で左第5, 6肋間動脈からの左肋間動脈肺動脈瘻を認めた.将来起こり得る合併症を考慮し, 腫瘍と瘻を外科的剔除し, 腫瘍は病理組織学的に良性嚢胞性奇形腫と診断した.
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