昭和医学会雑誌
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通院てんかん患者の服薬状況―とくに怠薬者の特徴点について―
新村 ヨシオ押尾 雅友安木 桂子下島 秀一千葉 潜塚原 直人
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1983 年 43 巻 2 号 p. 229-243

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抄録
てんかん治療の中心をなすものは, 抗てんかん薬剤の持続的な投与である.それ故, てんかん患者の発作のコントロール状況や社会適応に大きく影響を与える要因のひとつである患者の“drugcompliance”にも注目しなくてはならない.昭和大学病院神経科外来に通院しており, 定期的に抗てんかん薬剤を投与されているてんかん患者320名のうち150名を無作為に抽出し対象とした.6カ月間を費やし質問法を用い, 対象患者およびその家族と面接を行ったところ, 対象150症例のうち51例 (34.0%) に怠薬をみとめ, 服薬態度と治療効果との間には有意に平行関係がみとめられた.怠薬患者の特徴およびその治療効果との関係は次のようであった. (1) 年齢としては40歳以上の症例に多い.年齢要因と治療効果とには平行関係はみとめられなかった. (2) てんかん発作分類では部分発作を呈する症例に多く, 治療効果も不良であった. (3) 側頭葉障害を有する症例には有意に多く, 治療効果は不良であった. (4) 性格障害を有する症例では有意に多く, 治癒効果も不良であった. (5) 外来主治医を有する症例では怠薬者はすくなく, 特定医師に受診させることで怠薬を防止し得るようであるが, 治療効果からみると発作がコントロールされていない症例が特定医師に受診するようである. (6) 患者の背景にある家族が患者の外来受診および服薬に協力することで怠薬は防止され, 治療効果との平行関係もみとめられた. (7) 単身生活者ならびに無職の者に多く, 発作のコントロールも不良であったが, その背景に家族関係が大きく影響している症例もあり, 社会福祉的援助の必要性を述べた.なお, 患者の怠薬理由のうち第1は副作用への心配であり, そのうち生殖可能年齢にある女性の催奇形性への危惧が目立った.次にEpileptischer Optimismusにもとずくと考えられる理由が多くみとめられた.以上の項目を念頭におき, てんかん患者に対応することで, 発作のコントロールのみならず, 患者の社会適応をも良好に保つことになり, てんかん診療に大いに貢献するものと考える.
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