抄録
ウシ胎児関節軟骨のスフインゴ糖脂質の組成成分, 及びそれらを構成する糖鎖, 脂肪酸の種類の決定を行ない, 一部を成牛軟骨組織のそれと比較し, 牛胎児関節軟骨の特性を検討した.
方法) 4-6カ月の牛胎児膝関節軟骨を材料とし, 糖脂質をクロロホルムメタノール溶液にて抽出し, DEAEセファデックスカラム, イアトロビーズ勾配カラムクロマト, 薄層クロマトグラフィーにて, 各スフィンゴ糖脂質を分離し, 各糖鎖と脂肪酸を, ガスクロマトラグフィー, アミノ酸分析機器にて決定し, 各糖脂質の種属を決定した.
結果) 1) 主要構成成分として, 4種の中性脂質, 6種 (うち2種は同糖鎖配列呈した) の酸性糖脂質が分離された.
2) 中性糖脂質として, グルコセレブロシッド, ラクトシルセラマイド, トリグリコシルセラマイド, 及びパラグロボシッドの4種から成り, 特にパラグロボシッドが最も多く含有されていた.
3) 酸性糖脂質として, GM1 (Glu-NAc) , GM2 (Glu-NAc) , GM3, GD1a及びGD3が, 分離された.
4) 酸性糖脂質を, 含有するシアル酸の個数から分析すると, ウシ胎児は, モノシアロないしジシアロガングリオシッドが大多数を占め, 成牛軟骨組織では, トリシアロないしテトラシアロガングリオシッドの占める比率が大となる.これは糖鎖を形成していく上での特異的グリコシルトランスフェラーゼ活性が成長ないし加齢により変化していくことを推測させる.
5) 構成成分を決定した糖脂質は, アミノ糖として, Nアセチルグルコサミンを含有するものが多かった.
6) 構成脂肪酸に関して, 中性及び酸性糖脂質共に, 一定の分布傾向を示さなかった.
以上から, ウシ胎児関節軟骨は, 従来存在が少数といわれているグルコサミン含有酸性糖脂質及び中性糖脂質を多量含有する器官であることが判明した.又成牛との比較から, 従来脳にて認められているのと同様に, 成長ないし加齢と共に, 構成する各スフィンゴ糖脂質種属の成分比に変化を生じており, これは糖鎖を形成していく上に必要な特異的グリコシルトランスフェラーゼ活性が, 成長ない加齢と共に変化していくことに拠ると推測された.