昭和医学会雑誌
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心筋梗塞に合併した乳頭筋断裂の2剖検
篠原 文雄井上 紳渡辺 秀義牧角 裕藤本 治道塩川 章風間 和男飛田 明野口 澄子鈴木 嘉茂
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1983 年 43 巻 6 号 p. 859-864

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抄録
心筋梗塞 (以下梗塞) に合併した後乳頭筋頭部断裂の2例を報告した.症例1: 68歳, 女, 既往に弁膜症がある.胸痛発作で入院, 入院時心尖部にLevine III度の全収縮期雑音 (+) , Thrill (-) , 心電図は急性下壁梗塞心エコーでDDRの亢進, 8日後に再梗塞による心不全で死亡.心重量490g.梗塞が後乳頭筋を含む左室側壁後壁中隔と一部右室後壁にあった.また後乳頭筋頭部断裂を合併右冠動脈に血栓と左回旋枝に高度狭窄.断裂は再梗塞後に発生した.また弁膜症は乳頭筋不全によるものであった.症例2: 61歳, 男, 既往に糖尿病, 狭心症, 高血圧がある.胸痛発作で入院し, 心電図は急性下壁梗塞12日目に突然心尖部にLevine III度の全収縮期雑音 (+) .Thrill (-) .8日後に心不全で死亡.心重量490g.梗塞が後乳頭筋を含む左室後壁中隔にあった.また後乳頭筋頭部断裂を合併他に古い前壁中隔梗塞もあった.右冠動脈に血栓と左冠動脈に60%狭窄.2症例とも生前診断は出来ず, 本合併症は稀であるが, 手術により救命可能であるため早期診断が望まれる.
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