昭和医学会雑誌
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リンパ芽球性リンパ腫の酸性フォスファターゼと非特異性酸性エステラーゼ活性について
杉山 喜彦Hans Konrad MÜLLER-HERMELINKEdward SCHWARZEKarl LENNERT
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1984 年 44 巻 2 号 p. 221-228

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抄録
酸性フォスファターゼと非特異性酸性エステラーゼ両染色法を用いて, リンパ芽球性リンパ腫31例の患者の末梢血およびリンパ節スタンプ標本を検索し, 人胎児の胸腺リンパ芽球と比較検討した.両染色法はT-リンパ球で陽性であり, B-リンパ球, B-リンパ芽球および非Tリンパ芽球では弱陽性か, T-リンパ球にくらべよりびまん性陽性か又は全く陰性であった.酸性フォスファターゼの反応と同様に非特異性酸性エステラーゼの反応も核に接する粗な局在性の滴状陽性物であった.ほとんどの症性で酸性フォスファターゼの反応が非特異性エステラーゼの反応より陽性率がやや上まわっていた.これは胎児の胸腺細胞の反応パターンと一致していた.以上のごとく両染色法は, 免疫学的検索法がいろいろな制限をうけるのにくらべ, 簡便な方法であり応用範囲も広く, 特にT-リンパ球の同定に有効な補助診断法の一つである.
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