以上述べた調査結果および考察を要約すると次の通りである.
1.調査対象患者852人の年齢搆成は0~14歳0.7%, 15~64歳73.5%, 65歳以上25.8%であった.また, 男女別ではそれぞれ63.3%, 36.7%であった.
2.転帰別では治癒6.2%, 軽快29.6%, 不変22.1%, 死亡9.5%, 転医20.2%, 検査終了12.2%であった.
また, 年齢別転帰では治癒, 軽快は年齢とともにその率が悪くなる傾向があり, また当然のことながら, 65歳以上では不変, 死亡患者が多くなり転帰が悪い傾向を示している.
3.平均在院日数は平均31日であった.また, 男女別ではそれぞれ30日, 34日であった.
転帰別では死亡, 軽快の平均在院日数が長く, 続いて治癒, 不変, 転医の順で, 検査終了は最も短かいことがうかがえ, 検定の結果でも平均在院日数は転帰に関係があることがわかった.
また, 手術の有無別にみると手術無しの方が手術有に比べて平均在院日数が長い傾向がうかがえたが, 検定の結果は有意差を認めなかった.
4.1人1日当り検査件数は平均1.75件であり, 転帰別では検査終了, 死亡, 転医が平均を上まわって検査件数が多いのに対し, 不変, 軽快, 治癒が平均を下まわって検査件数が少なかった.
また, 1人1日当り検査件数は検定の結果, 手術の有無, 転帰との間に有意差を認めた.
5.死亡患者は長期にわたり密度の高い検査が実施されているのに対し, 検査終了患者は比較的短期間の在院中に, 密度の高い検査が実施されていることがわかった.
6.上位11疾患については, 総患者数558人に対して, 慢性肝疾患及び肝硬変, 胃の悪性新生物, 胆石症が上位を占め, この3疾患で59.1%を占めていた.
7.転帰の良好な治癒, 軽快患者および検査終了患者に, 慢性肝疾患及び肝硬変, 胃潰瘍, その他の部位の消化系良性新生物が多く, 転帰の悪い不変, 死亡患者および転医患者に, 慢性肝疾患及び肝硬変, 悪性新生物が多いことがうかがえた.
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