昭和医学会雑誌
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シメチジンの抗腫瘍効果について―マウスを用いた実験的検討―
伊藤 洋二
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1984 年 44 巻 2 号 p. 265-273

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抄録
Histamine H-2 receptor antagonistであるCimetidineはsuppressor cellを抑制するという報告がみられ, Cimetidineの抗腫瘍効果を検討するため, 担癌マウスを使って移植抵抗性試験, 腫瘍増殖に伴う免疫能について検討し, あわせてCimetidineと抗腫瘍剤との併用効果についても検討を加えた.MH134腫瘍を移植したC3H/Heマウスではcontrol groupに比し, Cimetidine 100mg/kg 4日毎投与したgroupで有意に腫瘍増殖が抑制され, 生存日数も延長した.Cimetidine投与担癌マウスと非投与担癌マウスのPHA・Con Aによるリンパ球幼若化反応は非投与groupに比しCimetidine投与groupで増強され, 非投与groupでは腫瘍移植後6日目にPHA反応, ConA反応共に最高値を示したが, Cimetidine投与groupではPHA反応が6日目に, ConA反応は10日目に最高値を示した.また, Plaque forming methodでは, Cimeidine投与groupが腫瘍増殖に伴う抗体産生抑制を阻止する傾向がみられた.Cimetidineと抗腫瘍剤との併用投与により抗腫瘍剤単独投与に比し, 担癌マウスの腫瘍増殖が抑制され, 生存日数も延長した.癌の免疫療法は各種免疫賦活剤を用いたeffecter cellの増強が主流となり広く実施されてきたが, 必ずしも現状では満足すべきものとは言い難い.Cimetidineによる免疫増強はsuppressor cellの抑制も, また新しい意味の極めて有効な免疫療法であることを示唆している.
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