昭和医学会雑誌
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感染性心内膜炎に対する外科治療の進歩
高場 利博
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1984 年 44 巻 5 号 p. 573-576

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抄録

感染性心内膜炎 (以下本症) はかっては細菌性心内膜炎といわれ, 敗血症症状とともに心症状, その他多彩な症状を示す疾患である.本症は抗生物質治療の臨床への導入により, その臨床経過に大きな変化をもたらした.すなわち, 起因菌が細菌ばかりでなく, 真菌, リケッチャなど多種化したため名称が感染性心内膜炎となったこと, 起因菌同定法, 有効な薬剤の選択など治療法の進歩により, 感染に対する治療効果は得られるようになったこと, しかし一方, 心症状, すなわちうっ血性心不全の進行, 不整脈, 塞栓症, 動脈瘤などが死因として注目されてきたことなどである.これらの心症状は内科治療が奏効しにくく, したがって内科治療だけでは極めて予後は不良である.かかる症例に対して現在では外科治療が唯一の救命治療とされるに至っているが, 教室でも本症の外科治療を経験することが多くなってきたので, 外科治療の進歩について述べる.

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