抄録
超音波の技術が進歩した今日, 各種進行悪性腫瘍に起因する急性腎後性腎不全の治療として緊急に要求される経皮的腎痩造設術において, 超音波誘導法が広く利用されるようになり, その安全性と信頼性が高く評価されている.我々は最近, 消化器悪性腫瘍の進行により発生した腎後性尿閉に対する2例の超音波誘導下経皮的腎痩造設術を経験し, 良好なる成績を得ることができたので報告する.使用装置は, 東芝製リニア電子走査型超音波診断装置SAL-50Aの本体に, 穿刺用探触子GC-10Aを装着し用いた.穿刺セットについては, 独自に先端を改良した八光社製8Fサイズの尿痩用シリコンバルーンカテーテル及び同社製経皮経肝胆嚢痩造設セット8.5Fサイズの三筒式の穿刺針を用いた.症例1は62歳男性, 胃癌術後1年半に, 症例2は52歳男性, 直腸癌の術後8カ月にそれぞれ発症したもので, 本法施行により特に大きな合併症もなく症状は著しく改善した.本法は, 従来の方法に比較し, ガイドワイヤーを必要とせずに8Fサイズのシリコンバルーンカテーテルを腎孟内に挿入し, 永久腎痩化も可能なもので, 非常に有用な手技と考えられた.