昭和医学会雑誌
Online ISSN : 2185-0976
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45 巻, 2 号
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  • 山本 龍二, 筒井 廣明, 安楽 岩嗣, 渥美 敬
    1985 年 45 巻 2 号 p. 155-161
    発行日: 1985/04/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
  • 森 義明
    1985 年 45 巻 2 号 p. 163-165
    発行日: 1985/04/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
  • 沼波 良太
    1985 年 45 巻 2 号 p. 167-180
    発行日: 1985/04/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    臨床で常用されている胆汁酸塩と三環系抗うつ薬の膜作用を単離肝細胞と赤血球とを用い, 生化学的な面と電顕を用いた形態学的な面から検索し, それらの関連性を検討した.動物は, 体重150g雄性SD系ラットを用い, ラット単離肝細胞はCollagenaseによる再灌流法により作成した.薬物の肝細胞障害作用は単離肝細胞からの酵素の逸脱 (glutamic oxaloacetic transaminase: GOT, lactate dehydrogenase: LDH) 活性を赤血球膜作用は, 低張性溶血 (50%溶血) を指標とした.薬物は, 胆汁酸塩 (chenodeoxycholic acid: CDCA, ursodeoxycholic acid: UDCA) , 三環系抗うつ薬 (chlorimipramine: CIM, imipramine: IM) の4種を用い, 薬物濃度は, 1×10-5Mから10-3Mとした.電顕は, 走査型電子顕微鏡 (scanning electron microscopy: SEM) と透過型電子顕微鏡 (transmission electron microscopy: TEM) とを使用し, 電顕試料は, 常法に従い作成して, 赤血球はSEMで, 単離肝細胞はSEMとTEMで観察した.CDCA, CIM, IMに於ては, 赤血球低張性溶血試験で, 低濃度側では溶血阻止, 高濃度側では溶血促進がみられたが, UDCAに於ては, あまり変化はなかった.一方, 肝細胞障害では, CIMの2×10-4Mから, IMでは4×10-4Mから酵素逸脱がみられ, 1×10-3Mで最大逸脱となり, CDCAでは4×10-4Mから酵素逸脱がみられ, 1×10-3Mで最大となり, UDCAでは, 高濃度に於ても酵素逸脱は認められなかった.CDCA, CIM, IMでは溶血を起し始める濃度と肝細胞からの酵素逸脱を起し始める濃度とは, ほとんど一致していた.形態学的変化に関して, 赤血球溶血に於けるSEM像では, CDCAとUDCAの低濃度でechinocyteの混在が, CIMとIMでは, stomatocyteが, 高濃度に於ては, UDCA以外でghostがみられ, 溶血阻止最大濃度では, 直径の減少と形態変化の軽度化がみられた.単離肝細胞に対しては, 細胞表面のmicrovilliの消失, 突出像, 細胞崩壊像などの変化が薬物濃度依存的にCIM>IM, CDCA≫UDCAの強さの順としてみられた.TEMでは, 細胞膜の膨化, 断裂, 細胞内小器官の変性崩壊, 特にmitochondriaの膨化, 変性とcristaeの消失, cytoplasmの流出, 大小種々の空胞化等の変化が, CIMでは2×10-4Mから, IMとCDCAでは4×10-4Mからみられ, UDCAではこれらの変化は弱かった.以上の結果より, これら薬物の赤血球に及ぼす影響と単離肝細胞に対する直接的な障害作用は, 濃度に関連して増加し, 両者の膜作用の相関性は, 生化学的変化と同様に形態学的な面からも裏付けられた.
  • 滝沢 謙治, 蜂須 玲子
    1985 年 45 巻 2 号 p. 181-189
    発行日: 1985/04/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    腫瘍免疫にたずさわる細胞性免疫の主役はリンパ球であるが, そのリンパ球のsubpopulationにおいて放射線感受性が異なることがこれまでの研究でわかってきた.そこで従来の局所放射線照射による腫瘍細胞への直接的な傷害作用とは異なり, 低線量全身照射による宿主免疫系とくに細胞性免疫を介する間接的な抗腫瘍作用の研究が始められてきた.我々は, 担癌マウスに低線量全身照射を行ない, その腫瘍発育過程を観察し, その作用効果について検討した.まずICRマウス背部皮内に3×105個のSarcoma 180細胞 (S180) を移植し, その直後に0, 10, 20, 50, 100radとグループ別に線量をかえて全身照射したところ, 20radの照射群で発育は抑制された.また, 100rad照射群では, 逆に腫瘍の発育は促進される傾向があった.次に, 20rad全身照射が作用し得る照射時期について検討した.腫瘍移植2日前, 1日前, 直前, 直後, 1日後, 2日後, 3日後, 5日後と照射の時期をかえてグループ別に照射したところ, 直後から2日後の時期に照射した場合, 腫瘍発育の抑制が見られた.中でも, 直後に照射した場合が最も抑制効果が大きかった.つづいて, 移植する腫瘍細胞数をかえた場合について検討した.移植腫瘍細胞数を1×105, 5×106個とかえて移植直後に20rad照射すると5×106個移植した群では, 腫瘍発育抑制は起こらなかった.
  • ―Alpha-naphthyl-Acetate-Esterase (ANAE) 染色による検索―
    杉山 喜彦, 太田 秀一, 塩川 章, 九島 巳樹, 梶山 浩, 滝本 雅文, 渡辺 秀義, 飯田 善樹
    1985 年 45 巻 2 号 p. 191-195
    発行日: 1985/04/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    組織学的に類上皮細胞が出現するという面では共通の所見を示すHodgkin病のMixed cellularity type (19例) と各種の特殊性リンパ節炎 (24例) の両疾患群のANAE活性によるT-cellの量的差を比較した.リンパ節炎の結核・トキソプラズマ・サルコイドーシス及び梅毒ともにANAE-Droplet positive cellの平均値はHodgkin病よりかなり高値を示した.類上皮細胞・組織球及びMacrophageとT-cellの共同作用が反応性病変ではよく保たれているが, 腫瘍性病変ではT-cel1の本来の機能が失われている現象の一つと思われる.
  • ―Alpha-Naphthyl-Acetate-Esterase染色による検索―
    杉山 喜彦, 太田 秀一, 塩川 章, 九島 巳樹, 梶山 浩, 滝本 雅文, 渡辺 秀義, 飯田 善樹
    1985 年 45 巻 2 号 p. 197-200
    発行日: 1985/04/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    Alpha-Naphthyl-Acetate-Esterase染色により30例の慢性非特異性リンパ節炎, 8例のImmunoblastic Lymphadenopathy (IBL) 及び10例の特殊肉芽腫性リンパ節炎につき, それぞれの末梢血におけるT-cellとplasmacytoid lymphocyteの変動及び差異について検索した.非特異性リンパ節炎とIBLとを比較するとANAE-DroPlet positive cellはIBLで明らかに減少していた.逆にGranular positive cell はIBLで相対的な増加がみられた.特殊肉芽腫性リンパ節炎においてDroplet positive cellの増加が最も著るしく, Granular positive cellはIBLと類似の値を示した.しかしIBLにおけるplasmacytoid cellの増加はリンパ節の破壊に基ずくparaneoplasticな病巣の末梢血への反映であり, 特殊肉芽腫炎のreactiveな変化とは質的に異る現象と思われる.
  • ―Alpha-Naphthyl-Acetate-Esterase染色による検索―
    杉山 喜彦, 太田 秀一, 塩川 章, 九島 巳樹, 梶山 浩, 滝本 雅文, 渡辺 秀義, 飯田 喜樹
    1985 年 45 巻 2 号 p. 201-204
    発行日: 1985/04/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    加齢に伴うT-cellの機能不全としてmitogenやallogeneic lymphocyteに対する反応性の低下, 移植に対する拒絶反応の減弱, delayed hypersensitivityの障害, 感染や腫瘍発生に対する抵抗力の減退, 各種悪性腫瘍時の免疫異常等, 動物実験とともに人体の症例においてもいろいろ報告されている.我々は幼児と高齢者との非特異性リンパ節炎におけるスタンプ標本でANAE染色のT-cell patternを示すリンパ球の量を比較した.高齢者においては幼児例にくらべ明らかなT-cellの減少が認められた.Plasma cell Seriesの量は保たれており, ある種のantigenに対するリンパ節内での選択的T-cellの反応性の減少を示す現象の一つと思われる.
  • 杉山 喜彦, 太田 秀一, 塩川 章, 九島 巳樹, 梶山 浩, 滝本 雅文, 渡辺 秀義, 飯田 善樹
    1985 年 45 巻 2 号 p. 205-208
    発行日: 1985/04/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    ANAE-Droplet positive cellが減少を示した15例の非特異性リンパ節炎につき諸家の報告と比較し検討した.ANAE活性は腫瘍性疾患時に減少する他, mitogenその他による幼若化した状態でその活性が減弱ないし消失することが知られている.今回の検索例のリンパ節標本と組織像を対比した場合, リンパ節のfollicular hyperplasiaによるT-zoneの狭小化がほとんどの例で認められた.T-zoneが比較的保たれていながらANAE-Droplet positive cellが減少を示した原因としてはウイルス感染その他の抗原によるT-cellの刺激による幼若化やSuppressor T-cellの増加も一因として考えられる.
  • 鈴木 悟
    1985 年 45 巻 2 号 p. 209-216
    発行日: 1985/04/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    異なるメーカーの4つの補聴器を聴かせたところ, 聴力正常者でも一般人と専門家では音の好みが異なることを知った.そこで一般正常者及びほぼ同じ聴力型を有し, 平均聴力レベル50~70dBの軽~中等度難聴者に, 同一メーカーの補聴器4機種を基準周波数特性にてイヤホン3種 (N.W.P) でそれぞれ聴かせ, 主観的音質評価を行わせ比較検討した.また難聴者に実生活における補聴効果の評価もさせた.この結果1) 一般正常人と難聴者の好む補聴器の特性は1KHz以上に大差は無かったが, 1KHz以下が適当な傾斜で減衰していた.補聴器はどのイヤホンもほぼ同一であった.
    2) 音質の好むイヤホンは一般正常人と難聴者で差はなくN>W>Pの順位であった.3) 実生活において難聴者に比較させたところ, 好む音質のイヤホンはN>P>Wの順であった.4) 実生活においてイヤホンを比較させたところ, 平均聴カレベル60dB未満の難聴では, 程度の軽い者ほどW特性を嫌う傾向があった.以上の結果を参考にすれば, 数多くの補聴器及びイヤホンの組み合わせの中から, まず補聴器を選択する場合はイヤホンをNとし, 50~70dBの軽~中等度難聴者には低音域を増幅していない特性のものを選んで試聴さすべきであることが分った.そして, これを中心に他の特性の補聴器及びイヤホンを選択させれば, 補聴器選択が容易であることが分った.
  • 鈴木 博之, 南雲 昇, 小松 信彦
    1985 年 45 巻 2 号 p. 217-224
    発行日: 1985/04/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    担子菌の1種Schizophyllum communeの産生する多糖であるSchizophyllan (SPG) は種々の興味ある生物学的活性を示すが, そのひとつとしてマクロファージの食菌能亢進作用がある.今回, 我々はマイクロプレートを用い, 一定量のマクロファージに対し2倍希釈系列のCandida parapsilosis浮遊液を加えて食菌させ, SPGのマクロファージに対する食菌活性化作用について検討した.SPGのin vivo実験については, SPGのマウスあたり0.01~500μg1回投与では, 0.01μg投与で1日後, 0.1~200μg投与で2日後, 500μg投与で4日後まで活性持続が見られた.最高増殖阻止指数 (Fungistatic index: FI) は100μg投与1日後の2.73であり, 500μg投与では若干低いFI値を示した.SPGのマウスあたり0.01~100μg隔日3回投与では, 0.01~1μg投与で1日後, 10μg投与で2日後, 100μg投与で3日後まで活性持続が見られ, 最高FI値は100μg投与3日後の2.91であった.SPGのマウスあたり0.01~100μg連続3~7回投与1日後では, ほとんど活性化作用が見られず, 100μg連続3回投与にのみ活性亢進を認め, トレランスの関与が考えられた.最適投与量は1回投与で100~200μg付近にあると思われる.In vitro実験については, SPGO.001~100μg/ml, 2~72時間接触の条件下では, マクロファージに対する直接活性化作用は認められなかった.各種免疫賦活物質の食菌活性化作用については, 1回投与でSPGよりも強い活性亢進を示したものは, MDP, MDP-Lys (L18) , LPS, Levamisole, ZymosanおよびPSKであり, MGおよびPicibanilはSPGよりも弱い活性亢進を示した.5回連続投与では, LPS, Levamisole, ZymosanおよびPSKで活性の亢進が見られた.ほとんどの場合1回投与に比して5回連続投与では活性の低下をきたしたが, PSKだけは, 1.25および2.5mg投与で5回連続投与の場合の方が強い活性亢進を示した.In vitro実験では, MDPは活性亢進を示さず, MDP-Lys (L18) およびLPSで軽度のマクロファージに対する直接活性化作用が認められた.これらの実験結果から, SPGによるマクロファージの食菌活性の発現には, その投与量はもちろんであるが, 投与回数や投与のタイミングが重要であることが明らかにされた.In vitro実験でのマクロファージ活性化作用の有無については, 今後さらに検討を加える予定である.
  • 亀井 朝広, 高場 利博
    1985 年 45 巻 2 号 p. 225-236
    発行日: 1985/04/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    開心術中におけるCardioplegic solution注入の心筋保護効果を検討するために, 雑種成犬55頭を用いて, 主として心筋微細構造の変化から検討した.常温下大動脈遮断30分群ではミトコンドリアスコアは2.27±0.052と最高値を示し, 心蘇生後心機能も悪く, 不可逆性変化の進行がみられた.全身軽度低体温下に心臓局所冷却を行った例では, 90分間の大動脈遮断までは蘇生率, 蘇生後心機能も良好で, ミトコンドリアスコアも2.0以下におさえられた.しかし120分以上の大動脈遮断ではミトコンドリアスコアは2.0以上となり, 蘇生後心機能の不良例もあり, 十分な心筋保護は行われていないと判断された.軽度低体温下に心臓局所冷却を行い, さらにCardioplegic solutionを附加した例では, 120分間の大動脈遮断でもミトコンドリアスコアは1.415±0.035と低値を示し, Cardioplegic solutionを附加しない120分遮断例とは有意差をもって良好な心筋微細構造を示し, 蘇生後心機能も良好であった.また, 240分の大動脈遮断例においても, Cardioplegic solution附加は心筋保護効果のあることが示されたが, 蘇生後心機能は不良であった.Cardioplegic solutionの注入は速やかな心筋温の低下と心停止が得られ, また平均した心筋の低温化の得られることにより, 心筋微細構造の変化の進行を阻止しえたものと考えられた.しかし本法も注入間隔を90分間とした場合には保護効果は認められなくなり, さらに注入間隔を短縮することにより, その効果は増強することも証明しえた.以上の結果から全身軽度低体温下に心臓局所冷却法にCardioplegic solutionを併用する心筋保護法は有効な方法であり, 本実験からは120分までの連続大動脈遮断も可能であることが示された.
  • III胸骨角部断面の体構成について
    門脇 哲郎
    1985 年 45 巻 2 号 p. 237-245
    発行日: 1985/04/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    胸骨角部のCT写真105例 (男性: 61, 女性: 44) について, 皮下脂肪層, 骨筋層及び胸腔の各断面積, 脂肪の厚さ及び胸郭径の計測を行い, 性, 年齢による変化を検討して次のような結果を得た.
    1.胸骨角部断面の体構成について見ると, 脂肪層は男性6.8~18.3%, 女性11.2~30.2%, 骨筋層は男性29.7~42.5%, 女性29.5~36.6%, 胸腔は男性41.7~59.2%, 女性33.2~55.7%で脂肪層は女性が他は男性がそれぞれ他よりも優る傾向を示した.2.男女の総断面積の最も大の年代について体構成を見ると, 男性の30歳代では脂肪層と骨筋層が, 60歳代では胸腔がそれぞれ他の年代よりも著しく大であり, また, 女性の40歳代では脂肪層, 骨筋層及び胸腔のすべてにおいて他の年代よりも大で, 特に骨筋層が著しかった.3.体構成分各々について年代別に比較すると, 男性では脂肪層と骨筋層は30歳代迄増加, 以後減少する傾向を示したが, 胸腔は40歳代迄減少, 以後増加し, 比率もこれと平行する傾向を示した.これに対して, 女性では脂肪層と骨筋層は30歳代から増加, 前者は50歳代で, 後者は40歳代でそれぞれ最高に達し, 比率は前者は実測値に平行するが, 後者は40歳代迄は高く, その後は低く, また, 胸腔は30歳代, 40歳代で最大であったが, 比率は40歳代で最低となった.4.断面における皮下脂肪厚は男性では20歳代から50歳代では後正中線部が最も厚く, 60歳代, 70歳代では乳頭線部が最も厚かったが, 女性では乳頭線部も厚い年代が多かった.また, 男性では60歳代が, 女性では50歳代が最も厚くなる傾向が見られた.5.胸郭の矢状径及び横径については, 男性では矢状径は30歳代, 50歳代, 60歳代で増加して最高に達し, 前矢状径もこれに平行したが, 後矢状径は40歳代と50歳代が最も厚かった.また, 横径は20歳代と30歳代で増加して最大となり, 比率も最高であった.これに対して女性では矢状径は30歳代, 40歳代で増加して最大となり, 前矢状径と後矢状径はともにこれに平行したが, 横径は30歳代が最大で, 以後減少の傾向を示した.
  • 中神 誠一, 小林 明文, 今 直子, 坪水 義夫, 菅田 文夫
    1985 年 45 巻 2 号 p. 247-254
    発行日: 1985/04/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    200g前後のWistar系雄ラットを用いて実験的四塩化炭素 (CCl4) 肝障害におよぼすEndotoxlnの役割を明らかにする目的でZymosan, Lead acetate (LA) 投与にて網内系機能を変化させ, さらにEndotoxin tolerance (ET) 状態をおこさせた際の動態を無処理ラットにCCl4を投与した群と比較検討を行ない次の様な成績を得たので報告する.なおEndotoxinとしてはLipopolysaccharlde E.coli 0111: B4を使用し, Endotoxin血症の測定はLimulus testにて行ない, また網内系機能検査はコンドロイチン硫酸鉄 (CSFe) 負荷試験により貪食指数 (K値) を算出した. (1) CCl4肝障害ではEndotoxin血症が88%と高頻度に認められ, 網内系機能もK値で0.0163±0.0024と正常controlの0.0192±0.0005に比し有意に低下 (P<0.05) し, また生化学的, 組織学的にも強い肝障害が認められた. (2) CCl4肝障害の程度はZymosan1日前投与にてEndotoxin血症は62%となり, Zymosan7日間投与では22%と著明に減少し, またK値もZymosan7日前投与群で0.0209±0.0055とCCl4単独群に比し有意の改善傾向 (p<0.005) を示した.また生化学的およびnecro-sisを主体とした組織学的な改善が認められた.ET前処理においてもEndotoxin血症50%, K値0.0260±0.0061 (p<0.005) , S-GPT284±239 (p<0.05) , Hepaplastin test 42±6%とCCl4単独群に比し有意の改善が認められ, また組織学的変化も軽微であった.LA前投与ではCCl4肝障害の増悪傾向を認めた. (3) 以上の事実はCCl4投与によ生じた腸管由来のEnditoxinが網内系機能の状態で肝細胞に影響を与えるか否かによる差違と推測され, CCl4肝障害の原因の一つにEndotoxlnの関与することが示唆された. (4) Endotoxinの肝障害作用の機序につき我々のこれまでの成績および過去の文献などから若干の考察を試みた.
  • ―自記オージオグラムによる測定―
    澤田 政道
    1985 年 45 巻 2 号 p. 255-264
    発行日: 1985/04/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    録音した新幹線騒音を再生して負荷騒音として, 正常聴力者の可聴域値を測定し, 一過性の聴力低下NITTS (noise-induced temporary threshold shift) を測定した.騒音は間歇性騒音で150秒中に1回, 7秒間被検者の耳の位置でピーク値にて99dB (A) , 86LeqdB (A) にて8時間再生した.被検者は (1) 4KHzの可聴域値が+15dB以下 (2) 4KHzの自記オージオグラムの振幅が3.5~7dB以内のものとした.そして騒音に慣れていない正常聴力者42名, 5年間以上80~90dB (C) の騒音に暴露されピーク値で150dB (C) の衝撃音に年500回暴露されている者103名の内で聴力正常な者20名を被検者とした.聴力測定法には純音オージオメータと自記オージオメータを用いて4KHzの可聴域値を騒音負荷前3回, 騒音負荷中は60分間毎に8回, 騒音負荷中止後は10分毎に6回測定した.同時に可聴域値上20dBにて4KHzのSISI testを行ない, 補充現象の有無を観察した.その結果 (1) 騒音に慣れていない正常聴力者の騒音負荷前・中・後の自記オージオグラムにて持続音で測定した可聴域値は, 有意に上昇し, 振幅が縮小した. (2) 自記オージオグラム断続音で測定した場合には, 域値は上昇しなかったが, 振幅は有意に縮小した. (3) 騒音負荷8時間で聴力変動したものを, 非騒音下に8時間拘束したが聴力に有意な変化を認めなかった. (4) 騒音に暴露されながら聴力正常な者に騒音負荷した場合には, 持続音の自記オージオグラムにて, 聴力低下を認めず, 振幅は縮小したものもいたが, 騒音にあまり暴露されていないものよりも変化は少なかった.以上より, 騒音負荷による聴力の影響は, 自記オージオグラム持続音における振幅の縮小にはじまり, 次に域値の上昇が起こると推定される.従って, もし騒音負荷による聴力の影響を見る場合には, 可聴域値の上昇のみならず, 自記オージオグラム持続音の振幅の縮小を証明する必要があることがわかった.故に騒音下作業従事者には騒音負荷試験時に持続音による自記オージオメトリーを行い, 聴力に変化をみたものは騒音に対する受傷性が高いものと推定することができる.騒音下作業従事者に持続音による自記オージオメトリーを行い, 振幅に縮小をみたならば騒音性難聴の発症の可能性が大であるとして留意すべきである.
  • 柴田 一男, 高崎 裕治, 中倉 滋夫
    1985 年 45 巻 2 号 p. 265-271
    発行日: 1985/04/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    従来提案されている肥満の評価基準については, その基準設定の科学的根拠が必ずしも十分なものとはいえない.従って, 肥満評価の基準設定にあたっては, 種々の目的に応じた評価基準の妥当性, あるいは他指標との関連性を検討すべきである.そこで, 単純性肥満における大きな弊害は運動能力が劣っていることに注目し, 本研究では特に運動能力を用いて脂肪比率による肥満の評価基準を検討した.その結果, まず運動能力テスト総合点と脂肪比率との関連性が大きいことから, 運動能力の高低を基礎にした肥満評価のための指標として肥肪比率が適当であることを明らかにした.次に, 運動能力を用いての脂肪比率による肥満の評価基準設定に当たっては, 運動能力テスト総合点をもとに5パーセンタイル値以下に含まれる群 (A群) を運動能力が劣っていると仮定し, 5パーセンタイル値以下に含まれない群 (B群) と脂肪比率を比較した.A群はB群と脂肪比率については有意に異なり, A群の脂肪比率は高かった.脂肪比率の平均値はA群で男子19~20%, 女子26~27%, B群で男子13~14%, 女子22%であった.従って, 著者らはA群の脂肪比率の平均値よりも高い値を示すものは運動能力が劣っていると考え, A群の平均値周辺を肥満の境界とみなした.以上の結果, 運動能力からみた肥満の評価基準は男子で20%以上, 女子で25~30%以上を肥満とすることが適当であるという結論に達した.これは従来知られている脂肪比率による肥満の評価基準とも一致し, この有意性が立証された.
  • ―特に創の偽陰性化所見について―
    松井 渉
    1985 年 45 巻 2 号 p. 273-278
    発行日: 1985/04/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    外傷性脾損傷は腹部鈍的外傷の中で, 肝臓, 腎臓とならびその頻度が高く, その診断には比較的古くから超音波検査がもちいられてきた.しかしながら, 得られた超音波断層像の判定は難しく, ことに唯一の特異的所見である脾裂創の描出が, つい最近までなされていなかったこともあり, その臨床的意義に関しては一定の見解をえるにいたっていない.そこで今回, 成犬実験により外傷性脾損傷の超音波断層像を検討し次のような結果をえた. (1) 脾裂創は深さおよび幅が5mm以上あれば脾実質の欠損傷として十分描出可能である. (2) 脾実質は止血後比較的早期の凝血塊と超音波断層像上では識別不可能であり, したがって脾裂創に凝血塊が付着すると創の偽陰性化所見を呈するようになる. (3) 脾裂創部の超音波断層所見と病理組織学的所見との比較検討から音響学的な創の偽陰性化所見は凝血塊と脾実質の組織構造が大変類似していることに起因すると推察された.以上のことから, 外傷性脾損傷の超音波診断にあたっては止血後の比較的早い時期には凝血塊と脾実質が同じ超音波断層像を呈することに十分注意し, 直接所見である脾裂創を証明することが重要であると考えられた.
  • V.視床下部前部を反射の中枢とする脊椎傍筋施針の強縮後減少した腓腹筋の単縮高の回復促進作用
    楠本 盛一, 佐藤 三千雄, 武重 千冬
    1985 年 45 巻 2 号 p. 279-285
    発行日: 1985/04/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    脊椎傍筋の施針によって, モルモットの腓腹筋の強縮刺激後減少した単縮高の回復が著しく促進されることをすでに報じたが, この効果を現わす反射の中枢の検索を行った.モルモットの両側腓腹筋を, ネンブタール麻酔下で露出させ, 10Hzの強縮刺激を約1時間与えると単縮高が減少するが, 脊椎傍筋に施針を行うと施針と同側の単縮高の回復が促進される.この効果は脊髄や脳幹の破壊で出現しなくなり, また視床下部前部の尾側部の切断で出現しなくなったが, 視床下部前部の吻側部又は直上部の切断では影響されなかった.視索の上部にあたる視床下部前部に挿入した電極を介して電気刺激を与えると, 脊椎傍筋に施針した時と同じ様な効果が現われた.施針の場合には, 施針部と同側の腓腹筋に単縮高の回復が現われるのに対し, 視床下部前部の刺激では, 刺激と反対側にその効果が出現した.このような効果を山現させる部位は, 視索の上1.0~2.3mmの視床下部にあり, それ以外の部位の刺激ではこのような効果は出現しなかった.刺激によって回復の促進が現われた電極を介して, 施針の効果を誘起する脊椎傍筋 (L5) に電気刺激を与えると, 刺激部位と反対側の視床下部からは誘発電位が出現したが, 同側の脊椎傍筋の刺激では出現しなかった.腓腹筋と同様, 大臀筋に脊椎傍筋の施針で単縮高の回復の促進が現われた.以上の結果より, 脊椎傍筋施針による強縮刺激後減少した腓腹筋の単縮高を回復させる反射の中枢は, 反対側の視床下部前部に存在することが明らかになった.すなわち, この反射の求心路は施針の効果を示すL5-S1の脊椎傍筋の受容器を介して反射の中枢の存在する反対側の視床下部に達し, 遠心路も交叉して反対側の腓腹筋や大臀筋に至る.この反射の遠心性神経は, 交感神経に含まれる筋の血管に分布するコリン作動性神経と考えられ, 単縮高の回復の促進は強縮によって減少した筋の血流の改善が, 同神経によって現われた結果と推定された.
  • 滝本 雅文
    1985 年 45 巻 2 号 p. 287-299
    発行日: 1985/04/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    単純ヘルペスウイルス1型 (HSV-1) を経鼻的にマウスに感染させ, 主として嗅覚経路からのヘルペス脳炎の発症機序を, ウイルス抗原の検索を行い病理組織学的およびウイルス学的に検討した.4週齢および12週齢の雄のDDDマウスの鼻腔内に, 無麻酔下でHSV-1型をそれぞれ高濃度 (2×104pfu/mouse) および低濃度 (2×103pfu/mouse) のウイルス量を滴下して接種し4群に分けた.4週齢高濃度群では7日間にわたり鼻腔組織, 脳, 三叉神経節を採取し, 10%緩衝ホルマリンで固定し免疫螢光法 (IF) 間接法で抗原を検索し, 同一切片をさらに酢酸処理後, HE染色をして対比した.肺, 心臓は採取後, 凍結切片を作製しIF直接法を行った.残りの3群では, 経時的に90日目まで同様の方法で検索した.また, ウイルス分離を各群で経時的に行った.嗅球, 大脳, 脳幹部, 三叉神経節を取り出しそれぞれ10%乳剤を作製し, ヒトの胎児肺線芽細胞を用いて細胞変性効果を観察し陽性のものは塗抹標本を作製しIF直接法で抗原を検出し同定した.臨床的には, 4週齢高濃度群では接種4日で立毛やうずくまりがみられ6日目で大部分が死亡した.ウイルスの分離は接種3日で嗅球と三叉神経節および脳幹部にみられ4日目以降では大脳からも分離された.ウイルス抗原は接種4日で嗅上皮, 嗅球, 三叉神経節, 延髄, 橋に検出され, 病理組織学的には嗅上皮にびらんの形成, 嗅球, 三叉神経節では炎症像と共に神経細胞の変性と核内封入体がみられた.5日目以降では病変は中枢に向かい広汎に進展した.また, 接種5日で, 心, 肺の神経組織に限局してウイルス抗原が検出された.他の各群では経時的な差はみられるがほぼ同様の所見が得られた.しかし, 12週齢低濃度群ではウイルス分離もウイルス抗原の検出もされなかった.以上の結果から, 初感染での脳炎の急性発症の経路として嗅覚系と三叉神経節などの末梢神経からの神経経路が考えられるが, 延髄, 橋での病変の方が著明で嗅覚系以外の末梢神経を介して直接中枢に達する経路が主要なルートではないかと示唆された.また, ウイルス接種後3週目に分離されたウイルスのDNAを制限酵素により切断し分子生物学的に検討したところ, 接種ウイルスと分離されたウイルスのDNAの泳動パターンは数ヵ所で異なっていた.この新しい知見は, in vivoにおける感染様式の解析には病理形態学的な解析だけでなくウイルス側からの解析も必要であることを示唆している.
  • 尾崎 浩史, 栗原 稔, 田中 宣男, 安斉 勝行, 小沢 進, 宮坂 圭一, 盧 誠一, 斎藤 達也, 笠原 慶太, 加藤 富美朗, 鈴木 ...
    1985 年 45 巻 2 号 p. 301-306
    発行日: 1985/04/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    新開発の超細径前方視型生検鉗子付上部消化管用ファイバースコープUGI-RA (フジノン) を123名の患者に使用する機会を得た。軟性部径7.9mmと細いが, 送気, 送水, 吸引, 生検が可能で, Up200°, Down90°の彎曲を有し, 食道から十二指腸下行脚を対象としたパンエンドスコープとして十分使用できる。イメージも照診, フィルム上特に問題なく, また生検用採取組織片の大きさも十分で, 同規模の他機種に比べて遜色はない。アンケート調査による検査時の苦痛も他機種使用時に比べ少ない傾向で, 集団検診や初回のスクリーニング用に最適である。
  • 志賀 俊行, 川内 章裕, 内藤 誠二, 中山 国明, 鈴木 博, 松井 渉, 李 中仁, 河村 一敏, 幡谷 潔, 善山 金彦, 新井 一 ...
    1985 年 45 巻 2 号 p. 307-311
    発行日: 1985/04/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    超音波の技術が進歩した今日, 各種進行悪性腫瘍に起因する急性腎後性腎不全の治療として緊急に要求される経皮的腎痩造設術において, 超音波誘導法が広く利用されるようになり, その安全性と信頼性が高く評価されている.我々は最近, 消化器悪性腫瘍の進行により発生した腎後性尿閉に対する2例の超音波誘導下経皮的腎痩造設術を経験し, 良好なる成績を得ることができたので報告する.使用装置は, 東芝製リニア電子走査型超音波診断装置SAL-50Aの本体に, 穿刺用探触子GC-10Aを装着し用いた.穿刺セットについては, 独自に先端を改良した八光社製8Fサイズの尿痩用シリコンバルーンカテーテル及び同社製経皮経肝胆嚢痩造設セット8.5Fサイズの三筒式の穿刺針を用いた.症例1は62歳男性, 胃癌術後1年半に, 症例2は52歳男性, 直腸癌の術後8カ月にそれぞれ発症したもので, 本法施行により特に大きな合併症もなく症状は著しく改善した.本法は, 従来の方法に比較し, ガイドワイヤーを必要とせずに8Fサイズのシリコンバルーンカテーテルを腎孟内に挿入し, 永久腎痩化も可能なもので, 非常に有用な手技と考えられた.
  • 鈴木 純一, 真鍋 厚史, 川島 育夫, 中山 貞男, 坂本 浩二, 宇佐美 研一, 真鍋 厚史, 川島 育夫, 中山 貞男, 坂本 浩二, ...
    1985 年 45 巻 2 号 p. 313-321
    発行日: 1985/04/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
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