昭和医学会雑誌
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クマザサ抽出液に関する薬理学的研究
―抗炎症作用, 貪食能に及ぼす影響について―
大泉 高明白崎 恭子田端 貴子中山 貞男岡崎 雅子坂本 浩二
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1988 年 48 巻 5 号 p. 595-600

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抄録

クマザサの葉のアルカリ加水分解エキス (SE) の抗炎症作用および網内系への影響を検討した.ddY系雄性マウス (10週齢) を用い, Whittle法による血管透過性に対する影響を調べた結果, SE 10, 20ml/kg経口単回投与後に, 軽度の抑制がみられた.また, SD系雄性ラット (5~6週齢) を用いcarrageeninならびにformalinによる足蹠浮腫法による検索を行い, さらにformalin浸漬濾紙埋没法および寒天移植法による肉芽腫形成に及ぼす影響について検討した.Formalinによる足蹠浮腫法ではSE 5ml/kg経口単回投与3時間後に有意な抑制が認められたが, carrageeninによる浮腫法では逆にSE投与により浮腫の増加がみられた.Formalin浸漬濾紙での肉芽腫形成に対しSE投与により同程度の肉芽形成を認め, 寒天移植法においても影響はなかった.SE (1, 5, 10ml/kg/day×7 or 9 days) 連続経口投与後, 濾紙および寒天周囲の肉芽腫重量を測定し, 同時にH.E.染色, Azan-Mallory染色にて肉芽腫の組織学的観察を行った.その結果, 両方法による肉芽腫に対し対照と同程度の膠原繊維形成が認められた.網内系機能はddY系雄性マウス (6週齢) を用い, carbon clearance法によりSE (0.2ml/body経口投与) を単回もしくは連続7日間投与後の貪食能について検討した, SE単回投与後3~5時間で貪食指数のK値, α値が上昇し貪食能の亢進作用が認められた.しかし, 連続7日間投与では対照と差はみられなかった.

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