昭和医学会雑誌
Online ISSN : 2185-0976
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48 巻 , 5 号
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  • 武田 弘志
    1988 年 48 巻 5 号 p. 553-563
    発行日: 1988/10/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    酸化スクリーンモードを導入したクーロメトリック高速液体クロマトグラフィーによるラット脳内アセチルコリン (ACh) およびコリン (Ch) の簡易, 同時測定法を開発した.この方法は, ACh, Chおよび内部標準物質であるエチルホモコリン (EHC) をChemcosorb ACh-II逆相カラムにより分離した後, このカラムからの溶離液を, アセチルコリンエステラーゼおよびコリンオキシダーゼをポーラスポリマー担体に共有結合させて作製した固定化酵素カラムを通過させることにより, 酵素反応を誘発させ, その結果, 生成する過酸化水素 (H2O2) を電気化学的に検出するものである.本システムでの検出器は, 2つの多孔性グラフアイト材質の作用電極を有し, かつ低容量透過性の構造をもつクーロメトリー電気化学検出器を採用した.H2O2の検出には, 第一電極 (電解効率100%) をスクリーン作用電極に, また第二電極 (電解効率70%) を定量作用電極として用いた.この時の各電極の最適な設定加電圧は, 第一電極が+0.50V, 第二電極が+0.75Vであった.ACh, ChおよびEHCを迅速かつ明確に分離し, また, 固定化酵素カラム内で十分な酵素反応を惹起するには, 1.3mM塩化テトラメチルアンモニウムおよび0.04mMオクチル硫酸ナトリウムを含むpH5.0の0.01M酢酸ナトリウム緩衝液を移動相に, そして, pH8.5の0.05Mリン酸ナトリウム緩衝液を反応液として用い, それぞれの流速を0.4ml/minおよび0.7m1/minに設定することが必要であった.上記の条件下で, 簡易な抽出操作で得た脳サンプル中のACh, ChおよびEHCの良好なクロマトグラムが, 24分以内で得ることができた.また本システムでのAChおよびChの検出限界は10~20pmoleであり, 定量性は, 極めて良好であることを確認した.本システムを用いて測定した脳内7部位に於けるAChおよびCh含有量の分布は, 従来の報告と良く一致した.しかしこれら化合物の含有量値は, 従来の報告と比べ, 高い傾向があった.以上から, 本研究で開発したシステムは, 特異性, 簡易性, 定量性, 再現性および感度等の諸点で秀れていることから, 今後, 脳内AChおよびChの量的挙動に関する研究に応用できると考えられた.
  • 松田 哲郎, 片岡 徹, 桜井 俊宏
    1988 年 48 巻 5 号 p. 565-574
    発行日: 1988/10/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    α1-microglobulin (α1m) は分子量33.000の低分子糖蛋白質であり, 腎機能障害を伴う各種疾患を有する患者で検討した結果, 腎機能障害をチェックする指標としてきわめて特異的であり, 早期の腎機能障害を的確にとらえることができると報告されている.諸家により開腹術後に一時的な腎機能低下が起こることが指摘されているが, 消化器手術症例を対象に術前術後にα1mを指標として測定した報告はない.今回著者らは, 術前に腎機能障害を認めなかった消化器手術症例43例を対象として, 術前術後に血中α1m (s-α1m) , 尿中α1m (u-α1m) および他の腎機能チェックの代表的な指標を経時的に測定し, 術後に腎機能を把握する指標としてs-α1m, u-α1m測定の有用性を検討した.s-α1mは糸球体濾過量の減少を反映して上昇するが, 著者らの成績ではGFRの指標であるクレアチニンクリアランス (Ccr) と常に負の相関は示しはするが, 術後一時的に低下する傾向がみられ, その変動からは術後の腎機能障害発生をとらえ難く, 指標としての有用性はないと推測された.u-α1mは尿細管機能障害を反映して上昇するが, 今回の検討において, 術後に尿細管機能障害が発生したと考えられる術後3時間で上昇はピークに達し, 術前値の6.4倍の30.3±16.0mg/1を示し, 尿細管機能の回復に従って第7病日まで徐々に下降した.また, 尿細管機能障害の指標である尿中NAG (u-NAG) と術後3時間値, 第1, 5, 7病日値で有意な相関を認めたが, u-NAG上昇のピークは第7病日にあり, u-α1mの方がu-NAGよりも早期に尿細管機能障害をとらえやすいと推測された.u-α1mは尿中β2-microglobulin (u-β2m) と第1, 5, 7病日値で有意な相関を認め, ともに両者は尿細管機能障害をチェックする指標としての有用性は高いと考えられた.しかしながら, u-β2mは症例による変動幅が大きく, また悪性疾患, 感染症, 肝疾患などでも上昇する性質を持つのに対し, α1mは急性相反応物質の性格を持たず, きわめて特異的に腎機能障害を反映し, しかも検体保存も比較的容易という状況を考慮すると, 術後の尿細管機能障害の指標としてu-α1mの方がu-β2mより有用であると考えられた.糸球体濾過量の影響を除外するために算出したfractional excretion of α1m (FEα1m) の変動は, u-α1mの変動を反映して術後3時間で急上昇し, ピークに達し, その後徐々に下降し, 尿細管機能障害の指標として有用と推測ざれた.しかしながら, 他の指標と有意な相関がなく, また一般臨床に用いるのには計算も煩雑であり, 術後早期に尿細管機能障害をチェックする指標としてはu-α1mが最も簡便, 有用であることが示唆された.
  • 田中 良治
    1988 年 48 巻 5 号 p. 575-583
    発行日: 1988/10/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    CT写真による体組織構成に関する研究の一環として, 上腕の組織構成を性別, 年齢別に比較検討した.検査対象は20歳代から60歳代にわたる健康成人104名 (男性49, 女性55) である.CT撮影は上腕近位1/3部, 中央部, 遠位1/3部について行い, それぞれの写真について皮下脂肪, 筋, 筋間結合組織および骨の断面積を, さらに筋については各筋の断面積を測定, それぞれの性, 年齢による相異を検討した.結果は次の通りである.
    1) 上腕断面の組織構成は, 近位, 中央部, 遠位3断面とも, 男性では筋が最も大で, 皮下脂肪がこれに次ぎ, 以下, 結合組織, 骨の順であったが, 女性では皮下脂肪が最も大で, 筋がこれに次いでいた.したがって各断面とも総断面積と筋は男性が, 皮下脂肪は女性がそれぞれ他よりも優っていた.
    2) 年齢的に男性では各断面とも皮下脂肪は50歳代, 60歳代で増加, 筋は加齢的減少の傾向が認められ, 特に60歳代で著明であった.これに対して女性では皮下脂肪は加齢的増加が著明であったが, 筋では変化は認められなかった.したがって筋の総断面積は60歳代では男性が女性よりも僅かに優るに過ぎなくなり, 特に近位断面では男女差は見られなかった.
    3) 構成比では, 男女とも加齢的に皮下脂肪は高くなり, 筋は低くなる傾向が見られ, 60代における両者の増減は著明であった.
    4) 筋の断面については, 近位断面では男性は上腕三頭筋が最も大で, 三角筋がこれに次ぎ, 以下, 上腕二頭筋, 烏口腕筋の順であり, 加齢的に上腕三頭筋と三角筋には減少傾向が認められ, 後者で著明であった.これに対して女性では上腕三頭筋と三角筋はほぼ等しく, 各筋とも年代間の差は認められなかった.また, 上腕三頭筋と三角筋は男性よりも著しく劣っていた.
    5) 中央部および遠位断面では, 男女とも上腕三頭筋が最も大で, 中央部断面では上腕二頭筋と上腕筋は共に小であり, 遠位断面では以下, 上腕二頭筋, 上腕筋, 腕橈骨筋の順であった.加齢的に両断面とも男性では上腕三頭筋の減少傾向が著明であったが, 女性では各筋とも変化を認め難く, 60歳代では上腕三頭筋の性差は少くなる傾向が認められた.
    6) 以上の筋断面について, その性差は男女による運動量の差に, 筋間の差は筋線維型組成の相異にそれぞれ関連するものと考えた.
  • 佐野 徹
    1988 年 48 巻 5 号 p. 585-593
    発行日: 1988/10/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    隆鼻術において, 固形シリコンインプラントの使用は, ますます増大してきている.インプラントの挿入は, 骨・軟骨の容積を補う目的であるので, 土台となる骨面との固定性は重要なことである.術後に患者が指で鼻を押さえて, 鼻筋と一体となってグラグラ動くようでは, 本来の目的を達していないと思われる.ひいてはこの固定性の良否が術後の合併症を予防する上でも重要な点であると考えられる.隆鼻術は無視野の手術であるため, インプラントの挿入された部位の確認が明確でなく, 骨膜下に挿入すべきものであるのか, 骨膜上でよいのかは, 従来議論の別れるところであった.ラットを用いた実験で, 骨面にじかにインプラントを置いたものと, 骨膜上に置いたものとに分けて, その固定性を比べてみたが, あたかも骨と一体化したように固定されるのは, 前者であった.このことから, 隆鼻術の際の骨膜剥離操作の重要性が確認された.次に, 隆鼻術の際に骨膜下に, インプラントの先端を挿入し得るポケットの作成が可能であるか否かの問題点である.肉眼的には, 鼻部腫瘍の手術の際, 骨膜剥離子の先端で鼻骨骨膜の剥離は可能であり, 光顕的には, 骨膜および周辺の組織を2倍の長さに牽引しても, 伸びた骨膜は連続しており, 結果として骨膜下の剥離そのポケットの作成は可能であった.しかし, 骨膜が破壊されても, その結果, 骨面に接してインプラントがあれば, 同様に良い固定性を得ることができると思われる.いずれにしても, 隆鼻術の際の鼻骨剥離操作を十分に行うことが重要となる.
  • 大泉 高明, 白崎 恭子, 田端 貴子, 中山 貞男, 岡崎 雅子, 坂本 浩二
    1988 年 48 巻 5 号 p. 595-600
    発行日: 1988/10/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    クマザサの葉のアルカリ加水分解エキス (SE) の抗炎症作用および網内系への影響を検討した.ddY系雄性マウス (10週齢) を用い, Whittle法による血管透過性に対する影響を調べた結果, SE 10, 20ml/kg経口単回投与後に, 軽度の抑制がみられた.また, SD系雄性ラット (5~6週齢) を用いcarrageeninならびにformalinによる足蹠浮腫法による検索を行い, さらにformalin浸漬濾紙埋没法および寒天移植法による肉芽腫形成に及ぼす影響について検討した.Formalinによる足蹠浮腫法ではSE 5ml/kg経口単回投与3時間後に有意な抑制が認められたが, carrageeninによる浮腫法では逆にSE投与により浮腫の増加がみられた.Formalin浸漬濾紙での肉芽腫形成に対しSE投与により同程度の肉芽形成を認め, 寒天移植法においても影響はなかった.SE (1, 5, 10ml/kg/day×7 or 9 days) 連続経口投与後, 濾紙および寒天周囲の肉芽腫重量を測定し, 同時にH.E.染色, Azan-Mallory染色にて肉芽腫の組織学的観察を行った.その結果, 両方法による肉芽腫に対し対照と同程度の膠原繊維形成が認められた.網内系機能はddY系雄性マウス (6週齢) を用い, carbon clearance法によりSE (0.2ml/body経口投与) を単回もしくは連続7日間投与後の貪食能について検討した, SE単回投与後3~5時間で貪食指数のK値, α値が上昇し貪食能の亢進作用が認められた.しかし, 連続7日間投与では対照と差はみられなかった.
  • 杉野 雅啓, 永野 聖司, 野木 孝真
    1988 年 48 巻 5 号 p. 601-606
    発行日: 1988/10/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    糖尿病性腎症と腎症を有しない糖尿病およびネフローゼ症候群の患者についてpostheparin lipolytic activity (PHLA) を測定し, 腎機能, 血清アルブミン, HDLコレステロール (HDLC) との関連性を検討するとともに, 糖尿病ではインスリン分泌能とも検討した.次にリボ蛋白リパーゼ (LPL) 活性異常の原因としてVLDLの異常, さらにアポ蛋白の影響も検討した.1) 糖尿病性腎症患者のPHLAはインスリン分泌能と正の相関を示す傾向はあるが, 推計学的な有意差はなく, 血清アルブミン値と正の相関を示した (r=0.579, P<0.05) .2) ネフローゼ群のPHLAは著明に低下していた (P<0.001) .3) ネフローゼ群のVLDL分画への健常人LPL血漿の添加実験より, ネフローゼ群LPL活性の低下が示された (P<0.01) .4) 糖: 尿病性腎症およびネフローゼ群のapoVLDLの添加実験では, コントロール群に比し, ネフローゼ群はLPL活性の低下を示した (P<0.001) .またLPL活性の増加率で比較すると, 糖尿病性腎症およびネフローゼ群は低値を示した (いずれもP<0.05) .以上の結果より, 糖尿病性腎症のうち特にネフローゼ症候を伴うものおよびネフローゼ症候群の患者では, VLDLないしapo VLDLのアポ蛋白構成異常の可能性が示唆された.今後, アポ蛋白構造異常の可能性についても検討する必要がある.
  • 原 弘明, 土屋 恒篤, 堀内 静夫
    1988 年 48 巻 5 号 p. 607-616
    発行日: 1988/10/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    本研究は大腿骨頭壊死において, 臨床的に硬化帯といわれる骨形成亢進部の動態について検討するために, 骨頭壊死周辺部での新生骨添加を伴う修復反応を観察したものである.検体は人工物置換時に得られた大腿骨頭壊死16例20股であり, 病理組織学的に観察し, あわせてcontact microradiogramにて壊死骨頭の各部位の石灰化の状態を観察した.さらに, 壊死周辺部での病態像を定量的に観察するため骨形態計測学的に観察し比較検討した.また, 同部でのおのおのの骨梁における動的変動を知るため, テトラサイクリン2重標識法を組み合わせて観察した.
    組織学的には, 骨頭軟骨下に, (1) 壊死部, (2) 骨壊死と生存域を隔てる線維帯, (3) 骨新生が盛んで添加骨が著しく増量している硬化帯, および (4) 健常部分が観察できた.
    壊死周辺の硬化帯では, 添加骨は厚いオステオイドを伴い, オステオイドの表面には膨化した骨芽細胞の配列がみられ, 活発な骨形成が示唆された.骨形態計測を行うと, 硬化帯では健常部と比較して単位骨量が約4倍に増大し, 平均骨梁幅も2倍以上に肥厚していた.さらに, 硬化帯では分画吸収面も分画形成面も健常部に比べ約3倍に増加しており, 骨の形成も吸収もともに亢進していた.テトラサイクリン標識法で観察すると, 硬化帯での標識面が健常部の約3倍に増加しており, 石灰化速度も硬化帯では健常部と比較して有意に速かった.
    以上の結果より, 大腿骨頭壊死では, 壊死部周囲の硬化帯で, 骨量の増大, 骨形成・吸収の亢進, 石灰化の亢進がみられ, 自己修復能を有していることが定量的にみとめられた.
  • 菊地 哲次郎
    1988 年 48 巻 5 号 p. 617-628
    発行日: 1988/10/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    CT写真について第4腰椎椎体高における腹部総断面積と皮下脂肪, 腹腔, 筋, 椎骨, 椎孔の各断面積を測定し, おのおのの性, 年齢, 体型による相違を検討するとともに, 筋を腹直筋, 側腹筋, 腰方形筋, 大腰筋, 脊柱起立筋, 横突棘筋に分け, 同様の検討を行った.研究対象は20歳代から70歳代の健康成人62名 (男性32, 女性30, 平均年齢49.3歳) で, 体型はローレル指数により, A, C, D3型に区分し検討を加え, 以下の結果を得た.1) 総: 断面積は男女とも20歳代が最も小で, 30歳代に増加, その後は70歳代まで大きな変化は見られなかった.一般に女性が男性よりも優る年代が多かった.2) 組織構成比は, 男性では腹腔と筋が34%前後でほぼ等しく, 皮下脂肪がこれらに次いだが, 女性では皮下脂肪と腹腔がそれぞれ34%前後で筋がこれに次いでいた.3) これらを年代別に見ると, 男性では20歳代と30歳代では筋が最も高く, 腹腔, 皮下脂肪の順にこれに次いだが, 40歳代からは腹腔, 筋, 皮下脂肪の順となり, 70歳代では筋と皮下脂肪とは等しかった.これに対して女性では20歳代から50歳代までは皮下脂肪が最も高く, その間20歳代では筋, 腹腟の順に, 30歳代以後では腹腔, 筋の順にこれに次ぎ, 60歳代と70歳代では腹腔が最も高くなる傾向が認められた.4) 各構成比の年齢的変化を見ると, 加齢的に皮下脂肪と腹腔は増加, 筋は減少の傾向が認められ, 男性では30歳代に著明であり, 女性では漸進的であった.また, 椎骨と椎孔は実際値において僅かながら加齢的に前者は増加, 後者は減少の傾向が認められた.5) 筋は男性では平均値は側腹筋, 脊柱起立筋, 大腰筋, 腰方形筋と横突棘筋, 腹直筋の順に大で, 加齢的減少は腹直筋と側腹筋は少なく, 大腰筋と腰方形筋は40歳代と70歳代に, 脊柱起立筋は50歳代に, 横突棘筋は70歳代にそれぞれ著しかった.女性ではおおよそ男性と同順であったが, 腰方形筋は腹直筋とほぼ等しく最も低かった.6) 体型別に見ると, 男性ではA体型では筋と腹腔が相等しくして最も大, C体型では腹腔, 筋の順に大, D体型では腹腔が最も大, 皮下脂肪と筋は等しかった.女性ではA体型は男性のD体型と同様で, C体型は腹腟と皮下脂肪が等しくて最も大, D体型は皮下脂肪, 腹腔, 筋の順であった.7) 男性では椎孔を除くすべての構成分はA, C, D体型の順に増加する傾向を示したが, 比率では皮下脂肪にのみ増加が認められた.女性では皮下脂肪の増加はA, C, D体型間に認められたが, 腹腔と筋はA, C体型の間にのみ差が認められ, 比率では体型順に皮下脂肪は増加, 筋は減少の傾向が認められた.
  • 范 廣宇
    1988 年 48 巻 5 号 p. 629-638
    発行日: 1988/10/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    股関節の臼蓋形成不全に関する生体力学的研究は, 大腿骨骨頭側の生体力学的研究に比して極めて少ない.日本における変形性股関節症は, 臼蓋形成不全を有する先天性股関節脱臼後の二次性のものが多く, 臼蓋形成不全は軟骨の変性に始り, 進行すると臼蓋角の変化・大腿骨頭の形態の変化および頸体角の変化等の関節症変化を招来する.本研究は臼蓋角と大腿骨頸体角の変化および軟骨変性による股関節合力の変化を生体力学的に調べ, 臨床的所見と比較検討した.実験は, 正常成人および臼蓋形成不全を有する変形性股関節症患者の股関節正面X線像からモデルを採取し, 二次元光弾性実験を行い, Pauwelsの理論による数値解析を行った.結果は次の通りである.1) 正常大腿骨 (頸体角130゜) に対する正常臼蓋 (臼蓋角45゜) と臼蓋角50゜での正中荷重では, 股関節関節面での応力分布・応力集中はともに変化が見られなかったが, 臼蓋角55゜, 60゜では, 応力集中位置が臼蓋外側辺縁に移動し, 臼蓋角の増大 (45°, 50°, 55°, 60°) にともない股関節合力の増大が見られた.2) 臼蓋形成不全の経過にともなって起る軟骨変性については, 軟骨の厚さが半分になっても応力の分布および集中に変化はみられないが厚さが0になると応力は集中し応力値が前者の2.5倍にもなり, 応力集中の際の最大応力値は, 僅かな厚さの軟骨の存在によっても減少することが解った.3) 大腿骨頸体角の変化 (110゜, 130゜, 150゜) による股関節合力の変化は, 頸体角の減少 (110゜) により約10%の減少を見, 頸体角の増大 (150°) により約10%の増強を見た.頸体角の増大は骨頭中心と大転子の外転筋付着部の水平距離を減少させ, テコの理論における外転筋側のウデの長さが短くなり, 関節合力の増大をもたらすことが解った.4) 臨床的には, 臼蓋形成不全症例の自然経過を見ると, 臼蓋角の増大と軟骨変性による軟骨の厚さの減少が見られる.これらに対して, 田川の考案した寛骨臼回転骨切り術を施行すると, 接触面積が増大し, 応力分布位置が軟骨変性の少ない部分に移るため, 応力集中の値の減少が期待され, 形態上からも関節面の適合状態が改善される.大腿骨頸体角増強に対しては, 転子問骨切り術により外転筋力の方向が変化し, 股関節合力の減少が得られる.臨床的には, これらの術式により臨床症状の改善が認められた.
  • 坂元 修, 加藤 和夫, 釜田 秀明, 米山 啓一郎, 児玉 秀文, 竹内 治男, 小貫 誠, 田口 進, 八田 善夫
    1988 年 48 巻 5 号 p. 639-642
    発行日: 1988/10/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    わが国の国際化に伴い輸入感染症としての肝炎が注目されてきている.そこでわれわれは, 最近4年間の教室の輸入急性肝炎12例と国内散発性急性肝炎55例の臨床的検討を行った.輸入急性肝炎は国外での滞在期間, ウィルスの潜伏期間, 発症時期より現地での感染があったと見なしたもので全例男性でA型3例, B型5例, 非A非B型4例であった.年齢分布はA型平均36歳, B型39歳, 非A非B型30歳であった.滞在国は, 大陸別では東南アジアが10例, 中近東が2例であり, 現地で発症したものが2例, 帰国後発症したものが10例で, 駐在者が2例, 旅行者が10例であった.滞在期間は, 最短5日から最長180日であり, 出国から肝炎発症までの期間は, 1か月以内5例, 6か月以内4例, それ以上2例でA型肝炎は全例1か月以内に発症した.臨床症状は, 黄疸, 発熱, 倦怠感, 食欲不振, 嘔気, 下痢などがみられ, トランスアミネースの正常化日数は, A型41.6±7.6日, B型37±10日, 非A非B型80±40日であり, これらは国内散発性急性肝炎と有意な差がなかった.しかしA型肝炎の一例は劇症化を示した.またB型肝炎はsexual transmitted diseaseの性格が強かった.
  • 武井 信子, 佐藤 永雄, 東 悳彦
    1988 年 48 巻 5 号 p. 643-650
    発行日: 1988/10/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    動脈硬化症にはさまざまな危険因子があるが, 動脈壁へのコレステロールエステルの蓄積を主徴とする点から, 加齢に伴うコレステロール代謝の変調を追及することが同症の発症機構解明への1つのアプローチと思われる。われわれはWistar系雄ラット8~88週齢を用いて血清, 肝および血管壁のコレステロールの定量と放射性前駆体のこれらコレステロールへの取り込み, またコレステロール代謝回転に関するいくつかの酵素の活性を測定し, 加齢に伴うコレステロール代謝の変動を追跡した.血清コレステロールの定量は酵素法で, 肝と血管壁のそれは脂質抽出後Zakの変法で発色定量した.また14C-メバロン酸あるいは14C-酢酸を腹腔内に注射し, 一定時間後に各組織のコレステロールの抽出を行ない取り込まれた放射能を測定した.肝では, そのほかにin vitroにおけるコレステロール生合成を測定した.酵素はLCATおよびHMG-CoAレダクターゼとコレステロールー7-αヒドロキシラーゼについて測定した.得られた実験結果より次のように考察した.すなわち, 急激な成長期である生後16週位までは体重増加が著しく, 主として外因性コレステロールにより血清総コレステロールが増加する.そしてLDLからコレステロールを受け取る結果肝や血管壁のコレステロールも増量する.このために肝のコレステロール合成はフィードバック的に抑制されHMG-CoAレダクターゼ活性はむしろ減少の傾向にあると思われる.16~36週では体重はあまり変わらず, 血清, 肝コレステロール量も不変で, コレステロール代謝は比較的安定した時期と言える.潜在的にはコレステロールの生合成は増加の勢いにあり, 一方コレステロール異化の活性も増進して動的平衡が得られているのであろう.36~47週では再び血清総コレステロールが上昇する.LDLばかりでなくHDLコレステロールの増加も認められる.前の時期に維持されていた合成と分解の平衡が主として後者の減退によって破られたものと解される.47週以後血清コレステロールは再び高いレベルで一定に保たれる.LCAT活性も低下は見られず組織からのコレステロールの搬出はラットでは加齢による影響が少ないように思われる.
  • 金子 達, 田中 博, 黒田 一, 高野 信也, 寺崎 雅子, 高岡 佳弘, 中村 彰男, 中島 仁, 岡本 途也, 園田 康博, 諸星 利 ...
    1988 年 48 巻 5 号 p. 651-654
    発行日: 1988/10/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    Metastasis or infiltration of epipharynx carcinoma frequently causes osteolytic lesion. There are reports that these symptoms may exhibit osteosclerotic lesion, but this isconsidered to be rare, clinically. From this aspect, infiltration or metastasis of epipharynx carcinoma may not be likely when osteoma or fibrous dysplasia on the head and face are suspected. We report here a case with epipharynx carcinoma exhibiting osteosclerotic lesions in the sphenoidal and posterior ethmoidal sinuses, including some considerations from the literature pertaining to details of the case.
  • 清水 祐紀, 佐藤 兼重, 広松 直幸, 大隅 昇, 鬼塚 卓弥, 劉 弘文, 松本 清, 岩波 正陽, 根岸 秀, 鈴木 尚志, 安本 和 ...
    1988 年 48 巻 5 号 p. 655-663
    発行日: 1988/10/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
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