昭和医学会雑誌
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早期胃癌における胃切除線決定のためのマーキング法 ―特にJ型連立クリッピング法―
岩波 正英池田 忠明広瀬 忠次浜井 直人緑川 武正生田目 公夫仲吉 昭夫鈴木 快輔
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1989 年 49 巻 6 号 p. 582-586

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抄録

内視鏡的止血目的に開発されたクリッピング法はクリップの改良, 手技の確立によって上部消化管出血に対し臨床応用がなされ良好な成績が得られている.近年, 本法は止血法のみならず術前口側浸潤範囲が問題となる胃上部早期癌に対して, 術中切離線決定のためのマーキングとして用いられつつある.今回, われわれは使用されるクリップとしてK型クリップは反転での操作にやや難があることにより, J型クリップを選択してマーキングを施行した.しかし, その欠点として組織把持の不確実性が存在するため, 連立クリップにより確実性をはかった.症例1, 2ともにクリップの脱落はみられず, 術中胃切除線の決定において両症例とも漿膜面よりの触知が可能であった.2症例の経験により, 胃切除線決定のためのマーキング法として有用であったので, 症例を呈示するとともに若干の文献的考察を加えて報告する.

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