昭和医学会雑誌
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癌化学療法, 放射線療法および温熱療法の三者併用により著効を示した食道癌の一例
林 由里金子 和弘川田 泰司安斉 勝行高橋 正一郎八田 善夫鈴木 恵史新井 一成小池 正
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1991 年 51 巻 1 号 p. 125-129

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抄録

食道癌に対して癌化学療法と放射線療法, および温熱療法の三者を併用し, 著効を示した症例を経験したので報告する.症例は73歳, 男性, 嚥下障害を主訴として受診し, 内視鏡検査にて胸部中部食道の食道癌と診断した.本症例に対し, 化学療法として5'-DFUR1200mgを途中1.5カ月の休薬期間はあるが, 約7カ月間連日投与し, これに放射線療法としてテレコバルトγ線1日1.8Gyを34日間, 合計61.2Gy行った.さらに温熱療法として, インダーノバ社製IH-500食道内腔式温熱アプリケータを用い, 1回40分間週1回合計6回施行した.以上の治療により食道癌は著明に縮小し20カ月後までComplete Response (以下CR) の状態が続いた.また同時に認められた気管分岐部リンパ節転移巣についても本治療は有効であった.

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