抄録
Ovalbumin (OA) 能動感作モルモットによるlate asthmatic response (LAR) モデルを用いて, LTC4/D4拮抗作用, 抗PAF作用, 内因性PGI2増強作用等を有するIbudilastの抑制効果をみることにより, LARの成立機序について検討した.OA抗原吸入曝露後30分以内に認められる一過性の呼吸抵抗の上昇 (immediate bronchial response: IBR) は, Ibudilast前投与にて部分的に抑制され, 6~8時間および24時間を中心に認められる多相性の気管支反応 (late bronchial re-sponse: LBR) は, ほぼ完全に抑制された.人工換気下にて肺抵抗および動肺コンプライアンスを測定, 呼吸抵抗の上昇が元にもどったOA曝露48時間後に, 50μg/mlのAcetylcholine (ACh) 2分間吸入に対する気道反応性は有意に亢進しており (p<0.01) , Ibudilast前投与にて抑制された (p<0.05) .IBR出現時にbronchoalveolar lavage (BAL) を施行, bronchoalveolar lavage fluid (BALF) 中のhistamine濃度をRIA法にて測定したところ, control0.20±0.01ng/mlに対し, 2.25±0.46ng/mlと有意に増加したが (p<0.05) , Ibudilast前投与にて, 0.79±0.30ng/mlと抑制傾向が認められた (0.05<p<0.1) .肺組織において, LBRに相当すると思われる7時間, 24時間後に好酸球を中心とした炎症細胞の浸潤を認め, Ibudilast前投与にて, 軽度の抑制を認めた.
以上Ibudilastには, OA能動感作モルモットにおけるLBR, 気道反応性亢進に対する抑制効果が認められ, これらにはLT, PAF, PGが何らかの関与をしているものと思われた.