昭和医学会雑誌
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Wheat Germ Agglutinin Conjugated Horseradish Peroxidase (WGA-HRP) 法による家兎下位肋間神経の脊髄への投射
杉村 健太
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1992 年 52 巻 3 号 p. 266-271

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抄録
腕神経叢引き抜き損傷の治療において肋間神経を用いた肋間神経交差移行術は有用な手段であり確立された治療法といえる.しかし使用される肋間神経の組織化学的研究は少ない.今回著者はWheat germ agglutinin conjugated horseradish peroxidase (WGA-HRP) 法を用いて家兎下位肋間神経の組織化学的研究を行い, 上位肋間神経との比較検討を行った.白色家兎8羽を用い, 第6, 7内肋間神経内側枝及び外側枝2枝ずつ, 計8神経を対象とした.ネンブタールを用いて麻酔し, 一側の第6ないし第7内肋間神経を十分剥離し内側枝と外側枝に分かれる部分まで展開する.微小ガラス管を用いてWGA-HRP10μlを神経内に直接注入した.術後72~96時間後に灌流固定した.その後椎弓切除を行い脊髄を摘出し4%パラホルムアルデヒドに24時間浸漬しさらに5%, 10%, 15%の蔗糖加燐酸緩衝液に順次浸漬した.24時間後摘出した脊髄を凍結させ, クリオスタットを用いて50μmの脊髄横断切片を作製した.凍結切片をただちに燐酸緩衝液及び酢酸緩衝液にて洗浄後, Tetramethyl benzidine反応を行った.反応後2%中性赤水溶液で対比染色を行い, これらを光学顕微鏡にて観察した.結果; 1) いずれの神経に注入した場合でも胸髄灰白質内に逆行性ラベルされた細胞が認められた.それらは注入側にのみ認められ非注入側には認められなかった2) ラベルされた細胞は脊髄前角のRexedの言う第IX層の外側に集中していた.3) 第田層にはラベルされた神経線維の分布が認められた.4) ラベルされた細胞のヒストグラムを作製すると2峰性の分布を示した.5) 細胞の形態は多彩であった.以上より1) 上位肋間神経と同様に下位内肋間神経外側枝にも前角細胞由来の丘berがあると考えられた.2) 下位肋間神経は抑制系が優位であると考えられた.3) 臨床的に, 下位肋間神経も上位肋間神経と同様に肋間神経神経移行術に用いることができることが示唆された.
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