昭和医学会雑誌
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52 巻, 3 号
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  • 武重 千冬
    1992 年 52 巻 3 号 p. 241-255
    発行日: 1992/06/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
  • 清水 靖夫, 山田 順子
    1992 年 52 巻 3 号 p. 256-265
    発行日: 1992/06/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    下顎と頸部の美醜を決定する形態的特徴が下顎と頸部のなす角度にあらわれやすいことは明らかである.そこで下顎と頸部の皺とり術, 脂肪吸引術の際の基準値とすべく日本人成人女性の下顎と頸部のなす角度について調査した.調査対象は日本人女性20歳~29歳の109名とし, 頭頸部側面写真をもとに, フランクフルト平面を水平位においた位置と, 頸部を最大伸展位においた位置の両方で下顎と頸部のなす角度について調べた.その結果日本人成人女性の下顎と頸部のなす角は, フランクフルト平面を水平位としたときは最大148.6°から最小88.7°で平均120.45°, 標準偏差は11.73で, 母平均を信頼区間95%で推定すると, 119.36±3.54°となった.頸部を最大伸展位としたときの下顎と頸部のなす角は最大180°から最小117.8°, 平均154.680, 標準偏差は9.79で, 母平均を信頼区間95%で推定すると153.49±3.15°となった.
  • 杉村 健太
    1992 年 52 巻 3 号 p. 266-271
    発行日: 1992/06/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    腕神経叢引き抜き損傷の治療において肋間神経を用いた肋間神経交差移行術は有用な手段であり確立された治療法といえる.しかし使用される肋間神経の組織化学的研究は少ない.今回著者はWheat germ agglutinin conjugated horseradish peroxidase (WGA-HRP) 法を用いて家兎下位肋間神経の組織化学的研究を行い, 上位肋間神経との比較検討を行った.白色家兎8羽を用い, 第6, 7内肋間神経内側枝及び外側枝2枝ずつ, 計8神経を対象とした.ネンブタールを用いて麻酔し, 一側の第6ないし第7内肋間神経を十分剥離し内側枝と外側枝に分かれる部分まで展開する.微小ガラス管を用いてWGA-HRP10μlを神経内に直接注入した.術後72~96時間後に灌流固定した.その後椎弓切除を行い脊髄を摘出し4%パラホルムアルデヒドに24時間浸漬しさらに5%, 10%, 15%の蔗糖加燐酸緩衝液に順次浸漬した.24時間後摘出した脊髄を凍結させ, クリオスタットを用いて50μmの脊髄横断切片を作製した.凍結切片をただちに燐酸緩衝液及び酢酸緩衝液にて洗浄後, Tetramethyl benzidine反応を行った.反応後2%中性赤水溶液で対比染色を行い, これらを光学顕微鏡にて観察した.結果; 1) いずれの神経に注入した場合でも胸髄灰白質内に逆行性ラベルされた細胞が認められた.それらは注入側にのみ認められ非注入側には認められなかった2) ラベルされた細胞は脊髄前角のRexedの言う第IX層の外側に集中していた.3) 第田層にはラベルされた神経線維の分布が認められた.4) ラベルされた細胞のヒストグラムを作製すると2峰性の分布を示した.5) 細胞の形態は多彩であった.以上より1) 上位肋間神経と同様に下位内肋間神経外側枝にも前角細胞由来の丘berがあると考えられた.2) 下位肋間神経は抑制系が優位であると考えられた.3) 臨床的に, 下位肋間神経も上位肋間神経と同様に肋間神経神経移行術に用いることができることが示唆された.
  • 堀地 悌, 菱田 豊彦
    1992 年 52 巻 3 号 p. 272-278
    発行日: 1992/06/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    口唇裂術後のケロイド発生頻度はおよそ20~30%といわれている.ケロイドの発生予防にはリザベンやステロイド投与, 密封療法あるいは放射線照射が行われている.我々は口唇裂術後X線照射を施行し, 6カ月以上経過観察が可能であった164症例についてX線照射の有用性と問題点を検討した.X線照射は原則として術後5日以内に開始し, 抜糸前に終了するようにした.X線照射の一回線量は200Rまたは300Rで, 照射回数は通常3回とした.また管電圧は縫合部の深さにより30KVまたは45KVを選択した.ケロイドの判定は瘢痕の幅が広く, 盛り上がりと赤味の強いものをケロイドとした.ケロイドの発生率はX線照射群で14.6%, 非照射群で26.5%であった.X線照射群でケロイド発生率が有意に低く (p<0.01) , 口唇裂術後のケロイド発生予防にX線照射が有用性であることが確認された.照射開始時期は早期に開始すべきとの報告が多いが, 創部の治癒が完成する1週間から10日までに開始すれば良いと考えられた.我々は原則として3日連日照射としているがこの照射期間及び分割回数で特にケロイド発生予防効果が劣ることはないと考えられた.総線量600Rと900Rでケロイド発生率に有意差はなかった.これは900Rの方がケロイドが発生し易い創を対象としていることが原因の一つと考えられた.またケロイド治療では一般にケロイド切除後, 総線量1200Rから1500Rで良好な制御率を示しているのに対し, 600Rと900Rはいずれも総線量が低くケロイドの制御率に差が出難いものと考えられた.管電圧30KVと45KVではケロイド発生率に有意差はみられず, あえて45KVで照射をする意義はないと考えられた.片側性口唇裂ではX線照射群のケロイド発生率は有意に低かったが, 両側性口唇裂では有意差は見られなかった.これもやはり両側性口唇裂はケロイドが発生し易い事と総線量が少ないためと考えられた.X線照射の総線量を1200R~1500R程度とする事でケロイド発生をより減少でき, またこの程度の線量では色素沈着の増加は見られないことが示唆されたが, 今後症例の蓄積と検討が必要と考えられた.
  • ―その血管病変に対する病理学的観察―
    泉山 仁, 松本 清, 副島 和彦, 神田 実喜男
    1992 年 52 巻 3 号 p. 279-286
    発行日: 1992/06/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    脳動脈瘤の形態や部位によっては, 脳動脈瘤破裂予防のために必ずしも確実かつ安全なneck clippingや柄部結紮ができず, やむなくcoatingやwrappingを行わざるをえないことも少なくない.Super BondC&Bは, 4-META含有MMA-TBB・O系レジンで, 強い接着性と循い為害作用を特徴とした歯科汎用接着剤である.一般に頭蓋骨欠損の人工骨に使用しているレジンと比べて発熱性がないという特性を有し, 硬化時間も非常に短いが, 一方優れた耐久性と強度および硬度は同等である.脳動脈瘤破裂は, 血管内圧と血管外圧のunbalanceによって起るものであろうから, 動脈瘤を破れないようにするには血管内圧に耐える物質で動脈瘤を覆なければならない.従辛の高分子化学物質はsoftで伸びるという特性があり, それが珍重されていたが, 長期間にはそれが亀裂を起して出血を招いていた.そこで, 我々は拡大しない硬性のSuper BondC&Bでcoating, wrappingをするという考えに至った.実験には, 体重300~350g, Wistar雄ラットの腎動脈分岐部と総腸骨動脈分岐部との間の腹部大動脈50検体50箇所に, 体重8~12kg, 雑種成犬の頭蓋内血管 (中大脳動脈M2~M3) 10検体20箇所を用い, 手術用双眼顕微鏡を用いて各々にSuper BondC&Bをほぼ血管全周にcoating, wrappingした.観察期間は, 腹部大動脈では1カ月, 2カ月, 4カ月の3群に分けて観察し, 中大脳動脈では4カ月を経過したものを1群とし, 肉眼的および組織学的観察を行なった.その結果, Super BondC&Bは炎症性細胞浸潤および異物反応は少ないた龍生体内に使用可能であり, 補強剤として十分な強度をもち, 材質自体に経時的変化が少ないことが証明された.ところが, 頭蓋外の血管である腹部大動脈では, 外膜に持続的な出血を生じ, これは, 大動脈という強い拍動により, 外膜へ持続的な大きな外力がかかるために起るものと思われた.しかし, この出血は経時的に消退傾向にあり, むしろ線維化が徐々に増加傾向にあるので, 血管壁を強化させる可能性を有しているともいえる.ところで, 脳血管に対する反応をみると, 外膜の出血は認められず, 肉芽組織の増生や線維化は少量認められるのみであった.血管壁への侵襲は少なく, Super BondC&Bそのものの劣化もないことより, coatingおよびwrapping物質としては最適と考えられた.したがって, 将来臨床応用が十分可能であることが示唆された.
  • 中嶋 和夫, 猫田 泰敏
    1992 年 52 巻 3 号 p. 287-298
    発行日: 1992/06/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    本研究は, 精神遅滞児を対象に, 発達指数, 姿勢反射, 運動能力, 筋緊張, 癩癇などに着目した13歳時点での歩行の有無と歩行獲得年齢の予測方法の開発を目的に行った.対象は東京都心身障害者福祉センターにおいて, 著者らが直接面接できた精神遅滞児のうち, 初回面接時の診療録に基づき (1) 1991年3月31日を基準日として13歳0カ月以上であること, (2) 初回面接時の年齢が18カ月以上でかつその時点ては歩行不能なこと, (3) 知能障害以外に特別な身体障害を随伴しないこと, の条件を満たす77例 (男43例, 女34例) である.調査項目のうち, 歩行に関する項目を除き, 発達指数, 姿勢反射, 運動能力, 筋緊張, 癲癇などの資料は本センター所蔵の診療録から得た.満13歳時点の歩行の有無と歩行の獲得年齢は, 養育者を対象に行った電話による聞き取り調査で把握した.満13歳時点での歩行は77例中33例 (42.9%) が可能で, その歩行獲得年齢の平均は88.0カ月, 標準偏差34.0力刀, 範囲36~156カ月であった.解析方法として, 前記調査項目と満13歳時点の歩行の有無との関連性は, 最適なクロス表が自動的に選択されるプログラムCATDAP-02を用いて検討した.また歩行可能な症例を対象に, 前記調査項日と歩行獲得年齢との関連性を林の数量化I類で検討した.この結果, 精神遅滞児の13歳時点の歩行の有無は初回面接時の発達指数と姿勢反射に着目するなら, 発達指数が23以上の群は側方の立位平衡反応の有無にかかわらず25例全例が歩行を獲得し, 発達指数が22以下の群では側方の立位平衡反応が陽性の症例は5例全例が歩行を獲得し, 陰性の症例は47例中3例が歩行可能となっていた.このことから, 発達指数23以上の症例, および発達指数22以下で側方の立位平衡反応が陽性の症例は歩行が獲得でき, 発達指数22以下で側方の立位平衡反応が陰性の症例は歩行が獲得できないとするなら, 身体障害を随伴しない精神遅滞児の満13歳時点の歩行の有無は96.1%の的中率で予測できることが示された, また前記予測方法で歩行可能と仮定され, 実際に歩行の獲得していた30例を対象に, 歩行の獲得月齢に関する予測方法を検討した結果, 初回面接時の発達指数と姿勢反射の組合せによる予測度が最も高く, 実測値と予測値の重相関係数は0.815となっていた.以上のことは, 身体障害を随伴しない精神遅滞児の歩行が発達指数と姿勢反射の2つの要因で精度よく予測できることを示している.
  • 本田 常雄
    1992 年 52 巻 3 号 p. 299-308
    発行日: 1992/06/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    慢性遷延性に経過し, 疲憊, 無力状態にある症例を提示し, その分析を進めた.青年期ないしその後期に発症していたこれら症例の病前性格, 既往性, 教育歴を検討し, 次いでその疾病分類に立ち入った.精神病と神経症性症状, ついでその非特異的症状形成に触れたのち, 体験生成が身体過程の表現であると推定した.理由は記述現象学の必然的結果である, と強調した.そして治療に触れ, 「治療ニヒリズム」の意味について言及した.
  • 千葉 芳久
    1992 年 52 巻 3 号 p. 309-320
    発行日: 1992/06/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    昭和56年4月より平成3年9月までの10年6カ月間に, 当科において42例の血液透析患者に開腹手術が施行された.術後合併症は42例中20例 (48%) に認められ, 緊急手術や手術侵襲度の大きい症例ほど高率であった.手術死亡は術後合併症を併発した20例中9例とやはり高率であった.手術前後の血液検査値の変化からみると, 緊急手術群や手術侵襲度の大きい症例ほど尿毒症は高度で, さらに術後は憎悪する傾向が認められた.術後の補液では, 慢性腎不全による無尿の存在により補液量が制限され, 中心静脈栄養群と末稍静脈栄養群との間には, 投与熱量・窒素量・Cal/N比ともに大きな較差を認めた.血液透析患者の消化器手術では, 術後の尿毒症の管理が重要と考えられるが, 血液透析により尿毒症性物質のみならずアミノ酸も除去されており, 術後頻回の血液透析が必要とされる侵襲度の大きい手術においては, 血液透析はもとより尿毒症を最小限にとどめるべく, 高カロリー輸液を実施する必要があると考えられた.
  • 川畑 信也
    1992 年 52 巻 3 号 p. 321-326
    発行日: 1992/06/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    特別養護老人ホーム入所者176名を対象として, 身体疾患や神経徴候, 精神症状, 歩行能力について検討した.対象の内訳は男性41名 (平均年齢79.6±9.2歳) , 女性135名 (同80.3±8.4歳) で男女比は1: 3.3, 調査期間中での死亡は9例5.1%であった.アルツハイマー型老年痴呆SDATと脳血管性痴呆VDとを合わせた痴呆性入所者は78名44.3%, 非痴呆性入所者は66名37.5%, 知的機能の評価が困難な入所者は32名18.2% (仮性球麻痺11名, 慢性期失語症者10名, その他11名) であった.10歳ごとの年齢層別にみた痴呆性入所者の占める頻度は60歳台以後年齢層が進むに従い増加し, 90歳台では57.9%に及んでいた.痴呆性入所者では尿失禁や片麻痺に代表される神経徴候, 多彩な精神症状や問題行動を有する率が高く, 歩行能力の経年変化では約20%前後が歩行不能の状態に移行していた.非痴呆性入所者でも尿失禁や種々の神経徴候がしばしば認められ, 少数例ながら独語や徘徊, 暴力行為等の精神症状も散見された.しかし平均入所期間が5.2年に及ぶにもかかわらず入所期間内に歩行不能となった入所者はわずかに1.5%にすぎなかった.
  • 廣本 雅之, 安井 昭, 西田 佳昭, 熊谷 一秀, 増尾 光樹, 吉利 彰洋, 伊達 淳, 富永 幸治
    1992 年 52 巻 3 号 p. 327-331
    発行日: 1992/06/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    胃底腺領域陥凹型早期癌の多くが, 胃体部スキルス癌に進展し得るか否かにつき, 臨床病理学的に検討した.対象は当科において診断され切除された胃底腺領域に存在する陥凹型早期癌9例 (m癌5例, sm癌4例) を用いた.その結果, (1) 胃底腺領域の陥凹型早期癌の内視鏡的肉眼形態をみると, 癌巣部陥凹面は全例不整形を呈し, 陥凹辺縁はIIc様の悪性所見を認めた. (2) 深達度と癌巣内潰瘍の深さをみると, m癌の1例を除き, Ul-IIを示した. (3) sm癌の浸潤形態をみると, 逆台形型 (type 1) 3例, 台形型 (type3) 1例を示した. (4) sm癌の癌浸潤範囲と線維化の拡がりをみると, 癌浸潤>線維化1例, 癌浸潤=線維化2例, 癌浸潤<線維化1例を認めた.以上より, 胃底腺領域陥凹型早期癌は線維化巣との関連より, スキルスな発育形態を示すものの, ほとんどのものは, その深部浸潤形式, 肉眼形態より他領域の陥凹型早期癌と変らず, 典型的体部スキルス癌の初期像とは考えにくいと思われた.
  • 松本 忠重, 瀧川 宗一郎, 福島 一雄, 藤巻 悦夫
    1992 年 52 巻 3 号 p. 332-334
    発行日: 1992/06/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    整形外科医が, 日常診察に於て経験する手及び指の外傷は多彩な様相を示す.今回我々は, 過去5年間に経験した指骨骨髄炎について報告する.症例数12例13指 (男性9例10指, 女性3例) , 年齢は10歳~67歳, 平均41.6歳であった.指別では, 母指2指, 示指1例2指, 中指5指, 環指1指, 小指3指であった.受傷原因は, 開放骨折に随伴するものが最も多く, 初診時の適切な対応が重要であると考えられた.また骨髄炎の危険因子として糖尿病等の存在も軽視することはできない.治療法に関しては, 切断に至ったもの6指, 病巣掃爬植骨を行ったもの5指, 抗生剤投与のみで良好な結果を得たもの2指であった.
  • 池田 東美明, 中溝 玲恵, 野村 直人, 森本 冬樹, 田代 典子, 出原 郁, 水川 啓子, 松井 久美子, 世良田 和幸, 武田 昭平 ...
    1992 年 52 巻 3 号 p. 335-339
    発行日: 1992/06/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    帯状疱疹後神経痛に対する交感神経ブロックの効果については広く認められている.今回上肢に発症した帯状疱疹に対して, 星状神経節ブロックと硬膜外ブロックを試みたが治療効果が上がらず, レセルピンを用いて局所静脈内交感神経ブロックを施行したところペインスコアーの改善が認められた症例を経験した.上肢に発症した帯状疱疹は, 時に運動神経をおかし腕神経叢麻痺に移行する可能性があり患者の社会生活に与える影響が大きい.幸い局所静脈内交感神経ブロックは手技が容易で他のブロックも併用可能であり, 治療効果の向上を期待して試みてよいブロックと思われる.
  • 山田 郁史, 中西 俊郎, 稲垣 克記, 広瀬 秀史, 坂本 桂造, 藤巻 悦夫
    1992 年 52 巻 3 号 p. 340-342
    発行日: 1992/06/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    上腕骨直立脱臼は稀な外傷であり, その固定状態, 整復方法も十分な追求がなされているとは言えない.今回我々は3D-CT (3次元CT) による分析を試みた1例を経験したので報告する.
  • 青木 明, 向井 常人, 小林 文徳, 田崎 修平, 西田 均, 水野 健朗, 舩富 等, 小貫 誠, 八田 善夫
    1992 年 52 巻 3 号 p. 343-348
    発行日: 1992/06/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    Creutzfeldt-Jacob病 (C-J病) は多彩な神経症状を呈し進行性で予後不良な疾患である.症例は68歳, 男性.昭和61年12月より四肢知覚鈍麻, 歩行時のふらつきにて発症.症状は進行性で翌年1月には歩行不能となり言葉のもつれ, 嚥下障害も出現した為入院となった.血液生化学的には異常を認めなかったが神経学的には精神症状, 錐体路症状, 錐体外路症状, 小脳症状, 四肢の筋力低下と知覚低下を認めた.症状は治療に反応せず入院4週には失外套状態となり, 呼吸器感染症を併発, 敗血症と呼吸不全により16週にて死亡した.脳CTでは進行性に大脳の萎縮を認めた.脳波では周期性同期性放電が症状の進行に従い次第に頭部全体に広がった.C-J病は近年その病態が解明されつつあるが, 病初期での診断は依然困難である.本症例では髄液中のNSEに注目し, その経時的変化を観察したところ, 脳CT上異常を認める以前より異常高値でありC-J病の早期診断に有用と思われた.
  • 高山 昇, 高橋 正一郎, 仲又 進, 浅海 秀一郎, 腰塚 浩, 宮本 二一, 舩冨 等, 八田 善夫
    1992 年 52 巻 3 号 p. 349-355
    発行日: 1992/06/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    症例は61歳男性.心窩部痛を主訴に入院し, 諸検査で胃前庭部の全周性狭窄を示すBorrmann4型胃癌と診断.5'-DFUR 2100mg/日を4日間経口投与後3日間休薬する「4投3休」間歇投与法を開始.約3カ月, 7カ月後には狭窄像は改善したが, 約2年8カ月後には幽門狭窄や出血を来し徐々に病状悪化, 約3年3カ月後死亡した.本例は進行胃癌でありながら約3年3カ月間生存し, 一時的だが狭窄所見が改善したことは治療が奏効した結果である.副作用が少なく治療を長期間継続できたことも治療効果に貢献し, 経過の大半を外来通院で管理できたことにもつながったものと推測され, 癌患者のQuality of Lifeの観点からも本療法は有益な治療法の一つと考えられた.
  • 高橋 正一郎, 佐田 博, 八田 善夫, 林 芳郎, 中尾 實, 今給黎 和典, 中村 敬夫
    1992 年 52 巻 3 号 p. 356-361
    発行日: 1992/06/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    症例は53歳, 男性.心窩部痛, コーヒー様残査物を嘔吐し近医入院, Borrmann4型進行胃癌を疑われ, 転院となった.胃X線検査では胃角部から前庭部の全周性の高度な狭窄を認めた.胃内視鏡検査でも口側よりヒダ集中を伴い, 胃角から前庭部に全周性の不整形, 地図状の潰瘍を認めた.胃生検では異型リンパ球浸潤の所見であった.悪性リンパ腫を疑い手術を施行.病理組織学的には固有筋層への浸潤を示す胃RLHであった.一般に胃RLHは早期胃癌類似の形態を示すことが多く, 本例のように高度な前庭部狭窄を来した例は稀であり, さらに本例では固有筋層に増殖の主座が認められた点でも極めて特異な症例であった.
  • 巌本 三寿, 武田 健, 竹田 稔, 北川 行夫, 流石 恵子, 深沢 千秋, 稲垣 昌博, 庄 貞行, 鬼塚 淑子, 佐藤 聖哲, 秋本 ...
    1992 年 52 巻 3 号 p. 362-367
    発行日: 1992/06/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
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