昭和医学会雑誌
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気管支喘息と月経周期との関連についての検討
大塚 英彦清水 晋秋澤 孝則成島 道昭田中 一正中神 和清鈴木 一野口 英世
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1992 年 52 巻 5 号 p. 541-547

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抄録
月経関連喘息患者 (MRA) 8例, 非月経関連喘息患者 (non-MRA) 15例, 健常有経女性9例を対象とし, 月経周期に伴う気道過敏性の変化とホルモン変動を測定し, 検討した.1) 月経周期に伴う喘息症状の増悪を調べるためmini Wright peak flowmeterを用い, 連日peak flow rateを測定した.2) 月経周期と気道過敏性との関連を調べるため, MRA 8例とnon-MRA 15例に対し, mid cycle periodとmenstrual periodとにメサコリンによる気道反応性をアストグラフを用いて, 測定した.3) 気道過敏性とホルモン変動との関連をみるため血清中aldosterone, cortisol, progesterone, estradiol, progesterone/estradiol ratio, cortisol/estradiol ratioの変動を検討した.結果1) 健常者群とnon-MRA群には月経に関連したpeak flow rateの低下はみられなかった.MRA群では, 月経開始前後の期間で, peakf low rateの低下を認めた.2) 気道反応閾値log Dminは, MRAとnon-MRA両群において, mid cycle periodに比べmenstrual periodで低下し, 気道反応性の亢進を認めた.3) MRAとnon-MRA両群において, aldosteroneはmenstrual periodで増加を認めた. Progesterone/estradiol ratioはnon-MRA群において増加し, cortiso1/estradiol ratioはMRA群において減少した.4) 月経関連喘息の発作誘発には, ホルモンバランスの異常が関わっていると思われた.
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