昭和医学会雑誌
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33年前に診断し長期間観察したLetterer-Siwe病の一剖検例
柴田 実石井 誠三田村 圭二上野 幸久榎本 真塙 嘉之
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1992 年 52 巻 5 号 p. 553-557

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抄録
症例は36歳男性.生後6か月より肝脾腫が, 1歳6か月に全身リンパ節腫大, 貧血, 白血球減少, 血小板減少が, 3歳時に出血斑が出現し, リンパ節生検によりLetterer-Siwe病と診断した.副腎皮質ステロイド投与と輸血により寛解し, 乳幼児期の輸血に起因すると思われる肝炎が肝硬変に進展して死亡するまで33年間にわたり経過を観察した.その間しばしば軽度~中等度の発熱とリンパ節腫脹をきたしたがステロイドによりよく反応し回復した.組織学的には3歳時には著明であったリンパ節の異型組織球の増殖は, 16歳時には軽減し, 29歳以降は消失した.一般にLetterer-Siwe病は進行性で予後不良とされているが, 本例は小児期に寛解し長期間生存した.近年, 本症に対する化学療法の進歩により完全寛解に至る例も報告されているが, 本例はステロイド療法が奏功して寛解し進行性に乏しく良好な転帰をとったものであり興味ある症例と考えられた.
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