昭和医学会雑誌
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CA 19-9陽性胃癌についての血清学および免疫組織学的検討
沼部 聖
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1993 年 53 巻 2 号 p. 146-155

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抄録
原発単発胃癌271例 (切除241例) における血清CA19-9を臨床病理学的に検討し, また組織内CA19-9を酵素抗体法を用い免疫組織学的に検討した.血清CA19-9陽性67例 (切除47例) では病期進行とともに陽性率・測定値の上昇を認め, 陰性例に比し治癒切除例が少なかった.免疫組織染色においては血清CA19-9陽性例で組織内陽性率が70.2%と有意に高く, 組織型別では低分化型, 局在様式ではcytoplasmic typeが多く, 壁深達度・脈管侵襲・リンパ節転移度・進行度に伴い陽性率が上昇した.血清および組織内CA19-9陽性例においては, 陰性例に比し5年生存率が低く, またcytoplasmic typeでは5年生存率が低い傾向がみられた.以上より, 血清および組織内CA19-9の測定は胃癌の進行度・悪性度・集学的治療方針および予後判定の指標として有用で, 臨床的意義があると思われる.
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