抄録
深部腫瘍の選択的な加温法の確立を目的に, 四三酸化鉄微粒子をリボソームの脂質分子膜で覆い, 腫瘍親和性物質であるヘマトポルフィリンを結合させたリボソーム性強磁性体微粒子 (HP-LM) を作製し, 腫瘍栄養血管に経動脈的に投与して高周波誘導加温を行い, 腫瘍内温度および腫瘍の縮小率について検討した.家兎下腿部にVX-2腫瘍細胞を移植し, 腫瘍径3.5cmとなった時点で, 大腿動脈よりHP-LM100mg/kg投与し, 高周波誘導加温装置を用いて, 1回加温時間20分間で週1回計3回づつ, 以下のA~C群を加温した.A群: 1回動注群, B群: 2回動注群, C群: 対照群.AB群はC群に対し, 腫瘍内温度が有意に上昇し, 腫瘍の縮小を認めた.HP-LMは動注することにより, 腫瘍組織に集積し, 高周波誘導加温による断続的加温で腫瘍の縮小が認められ, 有効な加温効果が得られる事が示された.