昭和医学会雑誌
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遅発性ペースメーカー感染の1症例
成田 和広山田 眞関口 茂明松尾 義明成澤 隆数馬 博饗場 正宏村上 厚文田中 弘之舟波 誠井上 恒一高場 利博
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1993 年 53 巻 6 号 p. 556-559

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抄録

症例は71歳の男性.完全房室ブロックによるペースメーカー装着患者であり, 電池消耗のためのジェネレーター交換手術後8年を経過してからジェネレーターポケット部の腫脹が出現した.腫脹は徐々に増強するため感染が疑われ, また電池寿命も残り1年以内と予想されたためジェネレーター交換目的にて入院となった.手術所見ではジェネレーター周囲の結合組織は著しく肥厚していたが急性炎症所見は認められなかった.しかしながらペースメーカーポケット内部には黄褐色透明の浸出液および黄白色のゲル状物質が少量存在しており, 培養により弱毒菌であるStaphylococ cus epidermidisが検出された.術後15カ月を経過した現在まで感染の再燃は認められていない.ペースメーカー治療において, 新規植込みあるいはジェネレーター交換などの外科手術後数年を経てから感染が顕性化することは稀とされるが, 本症例のように長期経過後の患者に対しても, 感染をも含めた合併症についての観察が重要であると考えられた.

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