昭和医学会雑誌
Online ISSN : 2185-0976
Print ISSN : 0037-4342
ISSN-L : 0037-4342
異なる構造の多焦点眼内レンズ眼の視機能の比較
長野斗 志克高良 由紀子木崎 宏史谷口 重雄
著者情報
ジャーナル フリー

1994 年 54 巻 1 号 p. 43-47

詳細
抄録

新しく開発されたAMO社製屈折型多焦点眼内レンズを41眼に移植し, 現在使用認可されている回折型多焦点眼内レンズ及び, 単焦点眼内レンズの視機能と比較した.術後6カ月における遠見矯正視力1.0以上の症例は屈折型90%, 単焦点90%, 回折型79%の順であった.同時期の遠見矯正下近見視力0.5以上の症例は回折型81%, 屈折型54%であり, 屈折型レンズは遠見視力優位, 回折型レンズは近見優位な傾向を示していた.また, 術後のアンケートから, 眼鏡をまったく使わない症例は, 回折型61%, 屈折型50%, 単焦点27%であった.グレア症状の自覚に対するアンケートでは, 回折型では30%にグレア症状を訴えていたが, 屈折型では14%であり, 単焦点10%と差は少なかった.遠見視力優位のこの屈折型レンズは従来の単焦点レンズの特性により近く, 臨床上使いやすいレンズと思われた.

著者関連情報
© 昭和医学会
前の記事 次の記事
feedback
Top