昭和医学会雑誌
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児童の食習慣パターンの形成に関する研究
湯本 邦子猫田 泰敏長塚 正晃河合 清文斎藤 裕矢内原 巧
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1994 年 54 巻 2 号 p. 128-141

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抄録
乳幼児期および児童期は食習慣を形成する重要な時期であると考えられているが, 個人によって食習慣が安定・固定する時期は必ずしも一定していないことが指摘されている.本研究は, 特に児童を対象として, 児童期における食習慣の学年推移および食習慣パターンの形成についてを検討したものである.調査対象は山形県Y町立Y小学校に昭和58~60年度入学の児童計226人 (男子109人, 女子117人) とし, 入学後 (小2, 小4, 小6) の食習慣 (6群の基礎食品の摂取頻度, 食生活実態および食生活意識) をアンケート調査票で把握した. (1) 項目別に入学後の食習慣の学年推移を数量化III類によって解析した結果, 児童の個人ごとの食習慣はほぼ安定・固定していた.また, 学年別の基礎食品摂取頻度パターンは3学年に共通してよく類似しており, 項目別解析の結果と同様にほぼ安定・固定していた.すなわち, 食習慣は既に小学校入学前にほぼ形成されており, 入学後は安定・固定し, ほとんど変化しないことがわかった. (2) また, 6群の基礎食品摂取頻度パターンに基づいて児童一人一人の基礎食品摂取特性を類型化しうることを示し, この摂取特性には家庭における食生活バランスを考慮した食生活意識が有意 (p<0.001) に関連していた.
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