昭和医学会雑誌
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クローン病の狭窄に対するStricture Plastyの手術手技
岡 壽士小嶋 信博楠本 盛一金城 喜哉奥田 剛金 潤吉熊田 馨
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1994 年 54 巻 3 号 p. 185-189

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抄録

クローン病の合併症のうちもっとも頻度の高い腸管狭窄に対する切除手術は狭窄解除後の栄養療法を続行できるが, 吻合部や残存腸管の狭窄の問題となる.狭窄形成術 (stricture plasty) は腸管を切除することなしに解除できることから, 短腸症候群の心配がなく1980年代の後半から欧米で始められた術式である.手術手順は腸間膜反対側で狭窄部腸管を縦に肥厚化の部分を残さないように正常な腸管まで切り開き, アリス鉗子を縦切開の切開端と真ん中にかける.切開創の真ん中のアリス鉗子をひろげ, 切開創端の二つの鉗子を併せると, 切開創が腸管の周上の一部となって管腟が拡大する.粘膜縫合および漿膜縫合を行う.本疾患の宿命としてやがては再手術の可能性を持つ患者に対して残存小腸の長さは十分考慮されるべきであり, これにstricture plastyが極めて有効な手術手技として推奨される.

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