昭和医学会雑誌
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大腸リンパ管腫の1例
臼井 一郎秋田 泰小川 正純岩永 昌彦手塚 貴志野津 史彦新村 和平吉川 望海三田村 圭二
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1995 年 55 巻 1 号 p. 87-91

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抄録
症例は39歳, 男性.上腹部痛を主訴に受診.精査のため施行した大腸X線検査および大腸内視鏡検査にて, S状結腸・下行結腸移行部に表面平滑, 立ち上がりなだらかな約2cm径の大腸粘膜下腫瘍を認めた.大腸超音波内視鏡検査 (以下EUS) では, 腫瘤は正常な大腸壁粘膜に被われた粘膜下腫瘍であり, 内部は超音波検査上, 高エコーの薄い隔壁を持つ嚢胞性病変として描出された.これらの所見より大腸リンパ管腫を考え, 内視鏡的切除術 (ポリペクトミー) を行った.切除後, 病理組織学的に血管の拡張・増生, および粘膜深層に嚢胞性に拡張した多数のリンパ管を認め, 大腸リンパ管腫と確定診断された.大腸リンパ管腫は比較的稀な疾患であり, 本症例は, EUSにて診断され, 内視鏡的切除術にて効果的に治療された.
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