抄録
急性圧迫神経障害の病態を解明する目的で, 家兎の坐骨神経に血管クリップを2本用いて二重圧迫試験を行い, microangiography施行後の透明標本および病理組織標本を作製した.無処置の正常群と比較してその神経内血管形態の変化を経時的に観察し検討した.正常の神経束に分布する神経束内血管系において, epineurial vesse1 (以下epi-NV) の主なものはラセンを描きながら縦走し, 神経周膜内血管に分岐し4~6本観察された.しかし, endoneurial vesse1 (以下endo-NV) は, 5~6本造影されたのみであった.急性圧迫障害後のendo-NVは, 圧迫間部では, 圧迫時間に関わらず正常に比較して増加しており, 20本前後観察された.これに対し, epi-NVの本管では, 途絶や狭小化が認められ, 神経上膜深部における細小血管レベルでの増生が観察され, 4週間後も同様の所見が引き続き観察された.同部の病理組織学的所見において, 圧迫後2週間例, 4週間例ともに, 圧迫時間が長期におよぶにつれ細小血管を伴う線維性組織の侵入像が認められ, 神経周膜は肥厚し, 脂肪細胞の減少が観察された.以上のことから神経上膜内に重度の障害が認められるような状況下においても, epi-NVに比較してendo-NVは抵抗性を有していることが推察された.一方, 圧迫間部の神経線維においては, 2週間例では圧迫時間が長時間におよぶに従い大径有髄神経線維の数は減少し, 障害の程度は高度となった.4週間例では2週間例に比較してさらに有髄神経線維の数は減少していた.