昭和医学会雑誌
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口唇形態の検討―面積測定による評価―
石川 正大〓 進
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キーワード: 口唇, 形態計測, 面積比, 真円率
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1996 年 56 巻 5 号 p. 503-510

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抄録

日常生活で口唇の大小や形を評価する際, 顔面に対する面積比や口唇自体の厚さ, 上下口唇の面積比などを感覚的に判断している場合が多い.口唇の形態の検討は, 口唇高径, 口裂幅, 赤唇縁のなす角度などがあるが, 面積に対応するような研究はこれまで報告がみられない.そこで著者は, 18~46歳の日本人健康女性107名 (平均年齢22.34±4.48歳) の安静時顔面規格写真を撮影後, 画像解析装置を使用し, つぎの項目を測定した.1) 顔面の周長と面積, 2) 上下口唇赤唇部の周長と面積, 3) 上口唇赤唇部の周長と面積, 4) 下口唇赤唇部の周長と面積, 5) 上下口唇赤唇部の顔面に対する面積の割合, 6) 上口唇赤唇部の顔面に対する面積の割合, 7) 下口唇赤唇部の顔面に対する面積の割合, 8) 上口唇と下口唇赤唇部の面積比率.さらに, これら測定値をもとに形態的特徴を表す真円率 (あるいは円形率) を求め, 検討を加えた.その結果, 上下口唇赤唇部の顔面に対する面積の割合は, 平均3.08±0.54%であった.また, 上口唇赤唇部ならびに下口唇赤唇部を別々に検討した結果, 面積の割合ならびに口唇全体に対する比率はいずれも下口唇赤唇部が上口唇赤唇部より高く, 見た目の印象と一致する結果となった.真円率では, 顔面, 上下口唇赤唇部, 下口唇赤唇部ならびに上口唇赤唇部の順に数値が下がっており, 形態学的に正円から離れたものになっている.口唇においては, 真円率の値が低い場合, 細長く薄い印象を与えるのに対し, 高値の場合には逆にふっくらとし柔らかい印象を与えると考えられた.このように真円率により口唇の厚みならびに形態を細かく分類することが可能である.

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