昭和医学会雑誌
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CT画像を用いた正常耳介の聳立度の計測
大塚 靖保阪 善昭木内 達也
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1998 年 58 巻 2 号 p. 160-168

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抄録
耳介の先天異常や外傷に対しての形成術・再建術を行う場合, 指標として正常耳介の形態を熟知することが必要である.耳介一側頭角または耳輪外縁と側頭面の最短距離によって表わされる耳介の聳立度はとくに立ち耳や埋没耳などの手術においても術前・術後の評価法として重要である.今までも耳介の聳立度に関する実測による報告はいくつか見られるが, その計測方法に画一的なものはなく検者によって誤差が生じ易いと考える.耳介に異常のない日本人20歳から88歳までの計128人の頭部CT画像を利用して両側耳介 (256耳介) の聳立度を測定するとともに, 性差と年齢群間による差の有無を比較検討した.使用したCT装置はジーメンス (Siemens) 社製Somatom plusで, スライス面は眼窩上縁外耳孔線 (OMline) を基準線として, 眼窩上縁外耳孔線より1cm上方 (OM+1cm) , 2cm上方 (OM+2cm) の計3つの断面とし, 耳甲介頭蓋角, 耳介頭蓋角および対耳輪から耳輪にかけての傾きを調査するため新たに耳甲介舟状窩角を加えた3要素の角度を画像解析ソフトを利用し計測した.性差は耳甲介頭蓋角, 耳甲介舟状窩角, 耳介頭蓋角のすべての平均値で男性が女性より大きかったが, 統計学的に有意の差は認められなかった.年齢差では, 全年齢とそれぞれの角度との相関関係は弱い傾向にあったが, 年齢群間では差が認められた.
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