昭和医学会雑誌
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糖負荷後門脈血流量変化率による肝機能評価および閉塞性黄疸に対する減黄率予測
笹屋 昌示八木 秀文山口 真彦木川 岳中野 浩緑川 武正長崎 秀彰志村 浩高用 茂吉澤 康夫熊田 馨
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1999 年 59 巻 1 号 p. 42-47

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抄録

経口糖負荷に対する門脈血流量の増加は肝硬変患者では正常人に比べ低い.経口糖負荷後の門脈血流量増加で肝機能が評価できるか検討した.超音波ドップラーを用い60人 (原発性肝癌を伴う肝硬変症例23人, 転移性肝癌を伴う非肝硬変症例21人, 減黄を行った閉塞性黄疸16人) に対し, 経口75g糖負荷後の門脈血流量測定を行い、現在肝機能評価として常用されるChild-Pugh score, プロトロンビン時間, ヘパプラスチンテスト, インドシアニングリーン注射15分後の血漿停滞率 (ICG15) , 肝GSAシンチグラフィーと比較検討した.経口糖負荷30分後の門脈血流量の増加率 (以下PvFR30) は, 正常肝に比べ肝硬変症例のPvFR30は有意に低値を示し, child-Pugh score, プロトロンビン時間, ヘパプラスチンテスト, ICG15, 肝GSAシンチグラフィーと有意な相関関係が認められた.
また, PVFR30が1.5未満であれば肝機能低下を示した.さらに, 減黄前のPVFR30が1.5以上の症例は1.5未満に比べ, 減黄後1週間の血清総ビリルビン値の減少量が有意に高かった.これらの結果からPVFR30は肝機能評価法として有用であり、減黄率を予測することができると推察された.

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