昭和医学会雑誌
Online ISSN : 2185-0976
Print ISSN : 0037-4342
ISSN-L : 0037-4342
脊椎椎体間固定術に関する研究
―ラット尾椎椎間板に及ぼすrhBMP-2の作用―
大沢 延行
著者情報
ジャーナル フリー

1999 年 59 巻 3 号 p. 260-268

詳細
抄録
脊椎外科領域における脊椎椎体間固定術には種々の方法がある.そのなかでも, 前方固定術は後方進入による固定術に比べ, その解剖的構造により強固で理想的と考える.しかし, その手術には技術を要し, 様々な危険を生じる可能性がある.そこで経皮的に薬物を注入することによる椎体間固定が可能ならば, より危険が少なく前方固定術が施行出来るのではないかと考えた.現在までに薬物を用いた脊椎固定術の研究はいろいろ行われてきた.なかでもBMPを用いた研究は現在広い分野で進められている.今回, 本研究ではrecombinant human bone morphogenetic protein-2 (rhBMP-2) をラットの尾椎椎間板に作用させ, そのX線学的検討, および病理組織学的検討を評価した.結果として, X線学的検討では, BMP移植後1週では明らかな所見がみられず, BMP移植後4週後以降では石灰化像が認められた.BMP移植後8週では, コントロール群に比し著明な石灰化像が観察できた.石灰化像はBMP挿入側靭帯部周囲に顕著であった.病理組織学的検討では, BMP移植後4週および8週の標本において椎体軟骨終板組織の増殖様変化と, BMP挿入側線維輪周囲での軟骨性骨化像を認めたが, 椎間板部には骨形成による完全な連続性は観察されなかった.これは, 椎間板が分化した軟骨組織であり, 椎体軟骨終板は硝子軟骨であるため, 血流に乏しく, 血行を介した他の骨誘導因子の関与が得られなかったことなどが原因と考えた.しかし, rhBMP-2の作用により, 椎体腹側のBMP挿入側靭帯部には内軟骨性骨化により架橋が形成されかかっており, なかには椎間板腔に一部椎体軟骨終板を貫いて骨性架橋を形成している例も観察された.このことにより, 椎間板組織にrhBMP-2を添加したコラーゲンディスクを挿入または, rh-BMP2を経皮的に注入することによって椎体間固定が得られる可能性が示唆された.
著者関連情報
© 昭和医学会
前の記事 次の記事
feedback
Top