抄録
慢性関節リウマチ (以下RA) の中でも経過中に急激な骨関節破壊を来たすムチランス型RAの滑膜病理組織像及びMMP-1, 3, 9の関節液, 血清, 滑膜における発現を調べ, 関節破壊の関与について検討した.
ムチランス型RAの定義は現在のところ明確にはされておらず, その定義を臨床的評価から3群 (Mu群, Suspected-Mu群, LarsenV群) に分けた.全人工膝関節置換術を行う際に血清, 関節液, 滑膜組織を採取し, 滑膜にはHE染色とABC法での免疫組織化学染色を施し, 発現したMMPs (MMP-1, MMP-3, MMP-9) の計測を行った.血清, 関節液はsandwich ELISA法によりMMPsの蛋白量を定量した.まず病理組織学的検討を行い, MMPsに関しては3つのカテゴリー別に比較検討した.
Mu群およびsuspected-Mu群の一部において, 典型的なRAの病理組織像とは異なり, 滑膜表層細胞の多層化やリンパ球の浸潤があまり目立たず, 小血管の著明な新生が認められる非特異的な肉芽組織の形態を呈していた.また骨破壊部では肉芽組織の侵入と破骨細胞による骨吸収が認められた.MMPsに関しては全例にMMP-1, 3, 9の発現が認められた.
MMP-1, 3は滑膜表層での発現がほとんどであった.MMP-9は滑膜表層から深層まで広範囲にわたって発現しており, 特に骨破壊部および肉芽様滑膜部での好中球や破骨細胞に発現が目立った.3つのカテゴリーでの比較では有意差およびあきらかな相関はなかった.しかしRAの病期というものを考慮するとMu群およびsuspected-Mu群において肉芽組織の形態を呈す滑膜組織が多いことから関節のムチランス様破壊の機序の一つにMMP-9の関与が示唆された.